社会問題にもなる肥満
肥満は近年、世界的に増加傾向にあり、WHO(世界保健機構)の2016年の調査では18歳以上の成人のうち19億人が過体重になっているという報告があります。日本でも20歳以上の男性の33%、女性の22%が肥満(BMIが25以上)という現状です(図1)。食生活の欧米化や運動不足などを原因にした肥満の状態が続くと、糖尿病や心血管疾患、肝臓疾患などの生活習慣病を発症することから、メタボリックシンドロームとして今や社会問題にもなっています。
■20歳以上の肥満(BMI25以上)の割合(図1)
厚生労働省が実施した「令和元年国民生活基礎調査」によると、肥満者は男性は40~50代、女性は60代が多いことが分かる。また、女性の肥満率はここ10年横ばいだが、男性は増加傾向にある。
ECSに間接的に作用して肥満を防止する
CBDは近年の研究でダイエット効果もあることが分かってきました。食物の摂取や体内でのエネルギーの生産と消費の恒常性維持は、中枢神経系と末梢の臓器によって調整され、その調節にはエンド・カンナビノイド・システム(ECS)が重要な役割を果たしています。
CBDはCB2(免疫細胞上に多い)受容体に影響を与え、ECSに作用することで、間接的に肥満を防止する効果があると考えられます。2011年に行われたラットを使った研究では、CBDがCB2受容体に影響を与え、急速に成長するラットの体重増加を抑えると報告されています。
ストレスを軽減し、ミトコンドリアの生体エネルギーを高める
近年ではさらに研究が進み、CBDが細胞内ストレスを軽減し、ミトコンドリアの生体エネルギーを高め増強することが分かりました(図2)。
ミトコンドリアの生体エネルギーが高まることで、白色脂肪を褐色脂肪に変え代謝を促進させることが期待できるため、CBDは肥満予防、ダイエットの分野からも高い注目を集めています。
■CBDがミトコンドリアの生体エネルギーを増強する(図2)
CBDが基礎呼吸、ATP※への酸素消費率、呼吸能力を大幅改善し、グルコース代謝を活性することが分かった。このことからミトコンドリアの生体エネルギーを強化すると予測される。
※ATP : Adenosine triphosphate(アデノシン三リン酸)。ミトコンドリアで合成されるエネルギー
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-29 CBDの秘密』より