藤波 淳 歯学博士
歯科治療における幹細胞培養液の研究
虫歯や歯周病で歯を失った場合の治療として、ヒト幹細胞培養液には大いに期待しています。
事実、歯周病の組織に培養液を塗布すると、培養液に含まれるサイトカイン(情報伝達物質)が個々の幹細胞に指令を出し、幹細胞が歯根膜やセメント質などの歯周組織に分化する研究結果は 2000年代初頭から報告されています。
歯科治療におけるヒト幹細胞培養液の研究が進むと、歯周病の治療指針に大きな変化をもたらすこととなるでしょう。
従来の治療と異なり、条件が満たされた患者さんに対しては、歯を保存し治療するための選択肢が広がることになります。ヒト幹細胞培養液が、健康な歯を保存するための予防医療に活用できればと思っています。
藤波 淳 (ふじなみ じゅん)
歯学博士
ふじなみ歯科医院院長。1996年東京歯科大学卒業後、同大学口腔外科学講座入局。2010年ふじなみ歯科医院開設、2015年医療法人社団Natural Smile開設
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-25 ヒト幹細胞培養液の美容力』より