抗老化遺伝子サーチュインとサーチュイン酵素
寿命に関係するとして注目されているサーチュイン遺伝子は、活性化するとサーチュイン酵素をつくります。老化の制御や炎症の抑制、ミトコンドリアの新生など、サーチュインの働きと呼ばれるものは、すべてこの酵素の作用です。
サーチュイン遺伝子の役割
サーチュイン酵素の重要な役割のひとつに、「ヒストン脱アセチル化」という機能があります。ヒストンとは、細胞核内の染色体を構成するタンパク質のこと。全長2mに及ぶDNA分子はヒストンに巻きつく形で折り畳まれ、細胞内に小さく収納されています。DNAには膨大な遺伝子情報が書き込まれていますが、遺伝情報に基づいたDNAの情報(ゲノム)に対して、後天的に加えられるいろいろな化学的変化による情報をエピゲノムと呼びます。これによって、DNAの配列変化を伴わずに遺伝子の働きをコントロールします。「アセチル化」はこうした化学変化のひとつで、それを除去する反応が「脱アセチル化」。ヒストンへアセチル基を付加したり除去したりすることによって、状況に応じて細胞機能を調節する重要な恒常性維持の仕組みです。この調節が適正に行われなくなると、がんや代謝疾患、免疫疾患をもたらす老化細胞が増殖します。老化のメカニズムはエピゲノム情報の喪失と考えられています。
サーチュインは、ヒストンに加えられたアセチル基を取り除くことで、エピゲノム情報の調整に関わっています。
サーチュインの作用を促進するのはNAD
脱アセチル化作用のためには、取り外したアセチル基の受け取り手を必要とします。それが補酵素NADの役割です。サーチュイン酵素量が同じなら、NAD濃度が高い方がより強い脱アセチル化作用をもつことになり、酸化系酵素遺伝子や炎症性タンパク質遺伝子の発現を抑えるなどの機能を高めます。老化に伴いNAD量は低下しますが、NMNなどのNAD前駆物質の補充によって、サーチュインの効果的な再活性化が期待できます。
7種のサーチュイン遺伝子
サーチュイン遺伝子は哺乳類では7種類見つかっており、合わせて「サーチュインファミリー」と呼ばれています。それぞれ細胞内で存在する場所が違い、様々な生体機能をコントロールしています。なかでも SIRT1は、インスリン分泌や糖・脂肪代謝の促進、神経細胞の保護、記憶や行動の制御など、多くの機能調節に関わっていることが知られています。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-33 NMNの秘密』より