ケトン体を利用して生命活動を維持
狩猟採集生活時代、人間は食糧を求め、動物を狩り、野生の植物を採集して生活していました。この生活様式では、ケトン体が重要な役割を果たしていました。
ケトン体は飢餓状態や低糖質の食事によって産生されるエネルギー源で、狩猟採集生活の人間はケトン体を利用して生命活動を維持していたのです。
狩猟採集生活の食事の特徴
狩猟採集生活の食事は、動物の肉や内臓、野生の果実や堅果、根菜など多様な食材から成り立っていました。これらの食材からは、糖質摂取が制限され、代わりに脂肪やたんぱく質が摂取される傾向がありました。その結果、体内でケトン体が産生され、エネルギーとして利用されることが多かったのです。
狩猟採集生活でのケトン体の役割
ケトン体は脳のエネルギー源としても重要で、狩猟採集生活の人間は飢餓状態や長時間の運動などのストレス状況下でも脳機能を維持するためにケトン体を活用していました。また、ケトン体は脳のエネルギー源として機能するだけでなく、免疫系の調節や酸化ストレスの軽減など、さまざまな生理機能も持っていました。
人間の生存に不可欠
狩猟採集生活の人間は、ケトン体を介して食物由来のエネルギーを効率的に使い、食物の制約下でも生命を維持していました。そのため、ケトン体と狩猟採集生活下の人間との関係は密接であり、ケトン体は人間の生存に不可欠な役割を果たしていたのです。
現在はケトン体を重視した生活が復活
現代の食生活では糖質が豊富に供給されるため、体内のケトン体の産生は制限される傾向にあります。一方で、近年ではケトン体を活用したダイエットや健康法が注目されており、狩猟採集生活時代の人間と同じく、ケトン体を重視した食事やライフスタイルが一部で復活しています。
■ ケトン体中心から糖質中心へ変化した人類の食物
人類の歴史の大半は狩猟採集生活であり、エネルギーの主役はケトン体であった。
農耕の始まりから現代にかけて、主要エネルギー源はケトン体から糖質に変化してきた。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-36 天然由来ケトン体の秘密』より