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栄養書庫 NUTRIENT LIBRARY

「何を食べたらいいのか」から始まった髙橋式野菜スープ<5>

麻布医院院長 ハーバード大学医学部元准教授
髙橋 弘 医学博士

髙橋弘医学博士

植物が生き抜くために持っている力

私がつくりたかったのは、珍しい成分をひとつ入れたスープではありません。植物が生き抜くために持っている力を、できるだけ余さず、毎日の食事として届けるものです。植物は動けません。紫外線を浴びても、虫に狙われても、菌やカビにさらされても、その場所で生き抜くしかありません。だから植物は、色、香り、辛味、苦味の中に、自分の命を守るさまざまな成分をつくってきました。その代表が、ファイトケミカルです。

野菜の力をどう受け取るか

私は、ファイトケミカルを「健康のために摂る成分」とだけは考えていません。もっと根源的なものです。健康のためだけではありません。生きるため、命のために必要なのです。
生の野菜も、もちろん大切です。しかし、野菜の力をより確かに受け取るには、細胞壁を壊し、中の成分を引き出す必要があります。実際、野菜を生のまますりつぶした冷水抽出物と、5分煮出した熱水抽出物を比べた研究では、多くの野菜で、熱水抽出物の抗酸化活性が高く示されています。

冷水抽出と、5分煮沸後の熱水抽出を比較

野菜を生のまますりつぶした冷水抽出成分と、5分煮出した熱水抽出成分を比較。
多くの野菜で、煮出したスープの抗酸化力が高く示されています。

抗酸化力比較グラフ

※野菜の生の冷水抽出物と、5分煮沸した後の熱水抽出成分で、脂質ラジカルに対する抗酸化力を調べた。
※数値が高いほど活性が強い。ほとんどの野菜は煮沸後にスープの抗酸化力の値が上昇する。

出典 : Maeda H et al.,Jpn.J.Cancer Res.83(9),923-928(1992)

一杯の野菜スープに込めた答え

つまり、野菜は「食べればよい」だけではありません。「植物が生き抜くために持っている力」をどう引き出すかが大切なのです。私の野菜スープは、がんの患者さんと家族の問いから始まりました。アメリカで見た食の転換、デザイナーフーズの衝撃、日本の野菜離れへの危機感、そしてハーバード大学で学んだ細胞を壊す技術。
それらがすべて重なって、一杯の野菜スープになったのです。
自分のために。家族のために。今日の一杯が、明日のからだをつくる。
それが、私がこのスープに込めた答えです。

野菜とスープ

栄養書庫発行 : 「Nutrient Library-38 野菜スープの超健康力」より

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