健康な肌は表皮のバリア機能に守られている
美しい肌を維持するために必要不可欠なものとして、皮膚の「バリア機能」があります(図 1)。体表面を覆う人体最大の器官である皮膚(表皮)は、外界からのアレルゲンや病原菌、有毒物質などが、体内に侵入しないようにするため、皮脂や汗、皮膚常在菌によって弱酸性に保たれ、皮膚表面の角層細胞が物理的にバリアしています※。
■皮膚のバリア機能のしくみ(図1)
バリア機能を担う角層が健康な状態に保たれていることでうるおいを守り、皮膚の健康を維持しています。角層の「角質細胞間脂質」「NMF(アミノ酸)」が保湿成分としての役割を果たしています。
表皮が再生するしくみターンオーバー
表皮は4つの層からできています。最下層の基底層にある基底細胞が細胞分裂をして、1段1段押し上げていくことで、最後は角質細胞と呼ばれる平べったい硬い細胞に変わります。この表皮が再生するしくみをターンオーバーと呼びます(図2)。ターンオーバーの周期は 45日とされますが、部位や年齢によって異なります。
■表皮のターンオーバー(図2)
基底層で細胞分裂により生まれたケラチノサイト(角化細胞)が、新しい細胞に押し上げられて角層に達して角質細胞に変化します。その後、約2 週間かけて角層の最上部に到達し、自然に剥がれ落ちていきます。
角層の厚さは食品ラップとほぼ同じ
ターンオーバーの最後の硬く角化した角質細胞は皮膚の鎧のようなもので、鎧が何層にも薄く重なった状態が角層です。角層は角質細胞と角質細胞の間を細胞間脂質が埋め、その表面を皮脂が覆っています。この角層が皮膚のバリア機能のほとんどを果たしていて、角層の厚さは約 0.02ミリで、食品ラップとほぼ同じと言われています。
祖先が獲得したメカニズム
角層は死んだ細胞なので、最後は皮膚からはがれて垢になります。このターンオーバーとバリア機能は、水中から陸に上がった人類の祖先が獲得した生体を保護するメカニズムなのです。
※ バリア機能には、水分が蒸発するのを防ぎ、皮膚が乾燥しないようにする役目もあります。
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-5 美肌菌きれい研究ブック』より