サーカディアンリズムとは
サーカディアンリズムとは、生物が約25時間周期で体内に持つ内在的なリズムのことを指します。このリズムは、動物、植物、菌類、藻類などのほとんどの生物に存在しており、24時間周期の昼夜変化に同調しています。
人間の場合、サーカディアンリズムは1日のさまざまな時間帯で生体機能に影響を与えています。たとえば睡眠・起床のサイクルや空腹感や消化の周期、ホルモン分泌、体温調節に関与することが知られています。
サーカディアンリズムとミトコンドリアの関係
最近の研究では、睡眠とサーカディアンリズムの乱れがミトコンドリアのストレスを引き起こし、細胞死や病気のリスクを高めることが示唆されています。つまり、正常なサーカディアンリズムを理解し、リズムにそった正しい生活習慣を維持してしっかり眠ることが、ミトコンドリアの活性化にも大きく影響しているのです。
サーカディアンリズム 概日リズム
サーカディアンリズムとは、約24時間周期で起こる精神的・身体的状態の規則的な変化のこと。食事、排せつ、睡眠、覚醒、体温、ホルモン分泌など、あらゆる機能に影響を与えています。
日本人の睡眠の状況
2019年に実施された「国民健康・栄養調査」(※1)による「睡眠の状況」の調査結果によれば、1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満の割合がもっとも高く、男性32.7%、女性36.2%でした。また6時間未満の人を集計するとその割合は、男性37.5%、女性40.6%におよび、睡眠の質の状況についても、男女ともに20〜50歳代では「日中、眠気を感じた」、70歳代女性では「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」と回答した人の割合がもっとも高かったことが示されています。
睡眠の確保の妨げとなる点については、男女ともに20歳代では「就寝前に携帯電話、メール、ゲームなどに熱中すること」、30~40歳代男性では「仕事」、30歳代女性では「育児」との回答がもっとも多くなっています。
このような睡眠状況を少しでも改善し、豊かな眠りを確保すること。それが、本項のテーマです。
サーカディアンリズム正常化の基本
サーカディアンリズムが正常に機能していれば、起きて光を浴びたタイミングからだいたい7〜8時間後に眠気を感じるようになっています。これは、誰もが感じる正常なサイクルで、この日中の眠気を上手に対処し、本来眠るべき時間帯にちゃんと眠気が来ていることが重要です。本来であれば、誰もが心身のオンとオフの切り替えがしっかりでき、寝たいときに眠れる身体のリズムを持っているのです。
以下、サーカディアンリズムを正常化するための5つの方法を紹介します。
1. 規則正しい生活リズムの確保
毎日決まった時間に起床し、就寝することで、サーカディアンリズムを安定させることができます。また、食事や運動も規則正しく行うことが大切です。睡眠時間が不規則だと、体内時計が狂いやすくなるため、生活のリズムを整えることが重要です。
2. 日光にあたる
サーカディアンリズムは太陽光によって調節されるため、積極的に日光にあたることが大切です。とくに寝起きや午前中に日光を浴びることは、身体のリズムを整えるのに効果的です。日光にあたる時間や方法は、個人のライフスタイルに合わせて工夫しましょう。
3. 睡眠環境の改善
快適な寝室環境を整え、リラックスした状態で睡眠をとることが、サーカディアンリズムを整えるのに役立ちます。暗い空間、静かな環境、適切な温度、心身ともにリラックスした状態などが、質の高い睡眠をサポートします。
4. カフェイン・アルコールの摂取を控える
カフェインやアルコールは、サーカディアンリズムを狂わせる原因となるため、過剰な摂取を控える必要があります。とくに就寝前は睡眠の質を低下させるリスクがあるため、できるだけ避けましょう。
5. 就寝前のスマートフォンやテレビの使用を控える
就寝前のスマートフォンやテレビの使用は、睡眠の質を低下させる原因となります。光の刺激が、サーカディアンリズムを狂わせるため、できるだけ控えましょう。
これらの方法を実践することでサーカディアンリズムを正常化し、健康的な生活を送る準備ができます。毎日の生活習慣とすることで、睡眠の質を向上し、体調や精神的な健康、ミトコンドリアの活性化に大きな効果をもたらすことが期待できるでしょう。
※1国民健康・栄養調査:日本政府によって実施されている食生活や栄養状態、身体状況、生活習慣などに関する総合的な調査
栄養書庫発行 : 『ミトコンドリアの活性で健康長寿』より