
植物の「防御の知恵」レスベラトロール
レスベラトロールは、赤ブドウの果皮やベリー類などに含まれるポリフェノールです。植物が紫外線や傷、病原体から自らを守るためにつくる成分で、その「防御の知恵」が、人の細胞にどのような影響を与えるのか研究が進められています。
抗酸化作用だけではない、レスベラトロールの可能性
活性酸素が増えすぎると、タンパク質、脂質、DNA、ミトコンドリアが傷つき、細胞の老化や代謝の乱れにつながることがあります。レスベラトロールは、活性酸素の抑制や除去に関わる抗酸化作用だけでなく、SIRT1やAMPKなどの細胞の防御やエネルギー代謝に関わる経路に働きかける可能性があり、細胞が自らを立て直す仕組みとの関係が注目されています。

エネルギー代謝に注目したヒトでの研究
オランダ・マーストリヒト大学などの研究チームによる二重盲検クロスオーバー試験では、肥満男性11人が30日間レスベラトロールを摂取し、筋肉のAMPK活性、SIRT1・PGC-1αのタンパク質量、ミトコンドリア呼吸、インスリン抵抗性の指標などに変化が見られました。小規模試験ながら、細胞の発電力と代謝の両方に関わる可能性を示した結果です。
記憶と脳の働きに注目したレスベラトロール研究
ドイツ・シャリテ大学病院の試験では、レスベラトロールを含む製剤を用いて健康な過体重の中高年46人を対象に26週間検討し、記憶成績、海馬の機能的結合、糖代謝に改善が報告されました。脳の若々しさにも、糖代謝や神経ネットワークの働きが関わる可能性を示す初期的な知見です。
若々しい働きとレスベラトロールのこれから
ヒト研究はまだ小規模で、対象者や摂取条件によって結果にはばらつきがあります。それでも、酸化ストレス、代謝、脳機能などを、細胞防御や調節の仕組みから捉える研究は広がっています。
レスベラトロールは、酸化ストレスから細胞を守る仕組みや、全身の若々しい働きとの関係が注目される植物由来の防御成分です。
参考文献
DOI 10.1016/j.cmet.2011.10.002
DOI 10.1523/JNEUROSCI.0385-14.2014
栄養書庫発行 : 『栄養書庫フォーカス-9 奇跡の活性 オートファジー』より















