NMNの経皮吸収という課題
大きな期待が寄せられるNMNの美容分野応用ですが、本格的に肌でその若返り効果を実感するためには、残念ながらいくつかの課題があります。
最大のポイントはNMNの経皮吸収率の低さです。NMNは水溶性で分子量が大きく、皮膚のバリア層である角質層を通過しにくいため、肌に効果的に浸透させることが難しいのです。医療現場などでは、物理的な吸収促進技術(マイクロニードル等)や化学的な吸収促進剤(エタノールやDMSO等)を使用し、皮膚吸収を改善する方法も考えられています。しかし、これらの方法は特に敏感肌や乾燥肌の人にはリスクを伴い、家庭で試すことは困難でしょう。
不安定な成分で酸化しやすいので安定性の考慮が必要
さらに、NMNは不安定な成分で酸化しやすいため、製品としての安定性を考慮しなければなりません。化粧品に含まれると空気や光、温度変化にさらされる機会が多く、効果を持続させるための保存技術にも工夫が必要です。誰もが手軽に、NMN化粧品による若返り効果を塗るだけで実感するためには、上記のような課題をクリアする必要があります。
NMNは比較的分子量が大きく角質層を通過しにくい。また水溶性の成分のため、脂溶性の物質と比べて皮膚への浸透が難しいといった理由から、経皮吸収が制限されます。
せっかくの若返り効果だから、お肌から直接届けたい!
肌に浸透するNMN
NMNの経皮吸収率の向上について、現在多くの研究が進んでいます。その中で、一歩先行して実用化に成功したのが浸透型NMN誘導体です。これは、CPP(細胞浸透ペプチド)の技術を応用することでNMN分子が皮膚のバリア層を通過できるようにしたもので、細胞内にNMNが効果的に浸透します。
経皮吸収が穏やかで安定性あり
浸透型NMN誘導体は、経皮吸収が速やかで水溶液中でも安定。また低濃度でも伝達効率が良く、皮膚細胞などの組織内で NMN→NAD+へと変換、お肌への若返り効果を発揮します。
長期的な若返り効果が実現される可能性
その他、NMNの美容応用ではヒト幹細胞培養液と組み合わせた製品も新たに開発され、肌再生の相乗効果が注目されています。幹細胞のエクソソームや成長因子とNMNのマッチングにより細胞再生と保湿効果を強化し、肌の張りや弾力性を整えます。この組み合わせにより、細胞の再生機能が強化され、長期的な若返り効果が実現される可能性が高まっています。
長寿をまっとうするだけでなく、いつまでも美しく。多くの人々のそんな願いが、美容分野におけるNMN研究を後押ししています。
浸透型NMN誘導体とは何か?
浸透型NMN誘導体の皮膚への浸透性を確認(in Vitro)したところ、NMNは24時間でほとんど皮膚浸透が見られませんでした。浸透型NMN誘導体では、24時間で27.6%という高い皮膚透過性が確認できました。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-37 浸透型NMN誘導体の美容力』より