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自然妊娠への道を探る

美馬レディースクリニック院長
美馬 博史 医学博士

美馬博史博士

自然妊娠にこだわる

私は、基本的には自然妊娠にこだわっています。体外受精では女性の卵子を取り出し、パートナーの精子と受精することで出来た受精卵を再び子宮に戻します。この時に、細かく動き続けている精子を人の目で確認しながら一つだけをキャッチするのですが、ここにはやはりリスクがあって、わずかながらでも異常精子をうまく識別出来ず染色体異常や奇形児が生じる可能性があるのです。

自然妊娠の場合は、卵子の細胞膜にあるアンテナのような高精度のセンサーが自動的に働いて、健やかで活発な精子を選ぶことができます。ですから、やはり妊娠しやすい体づくりをし、自然妊娠力を高めるのがベストな選択肢です。

個人差に応じた対応

もちろん異常精子は少ないほうが良いのですが、過労やストレスから造精機能が低下し、また卵子も体質や生活習慣などのよってアンテナのセンサー機能に狂いが生じてしまいます。
そのような理由により妊娠が難しいような場合は、排卵が正常に行われているか、卵管が通っているか等について精度の高い検査を実施。妊娠力と卵巣年齢を精査し、個人差に応じた受精能力の高い卵子を養成するため、体に負荷のかからないホルモン療法等を勧めます。さらに、自然な妊娠力を増進させるための生活習慣や栄養指導なども重要です。
その上で、必要とする方にはタイミング法だけでなく人工授精も選択肢として、治療を行います。この方法によって、40歳以上の方を含め多くの方が妊娠を実現しています。

自然妊娠力をUPするための4つの柱

漢方薬療法やアーユルヴェーダ医学、天然素材のサプリメントを用いてミトコンドリアを活性化し、以下の4つのポイントから体や心に負担のかからない自然妊娠への道を探ってみましょう。

自然妊娠力をUPするための4つの柱

最近の課題子宮内膜症

最近の課題としては子宮内膜症の増加が挙げられます。子宮内膜症の正確な原因については不明な点が多いのですが、生理時のストレスを軽減するために、たとえば、従来の紙製品ではなく布地製のナプキンや使い捨てのコットン製のものを使用することで、症状が緩和される見込みがあると考えています。

様々な改善方法

子宮内膜症は、このような心身のストレスの軽減や適切な運動、健康的な食生活という生活習慣によって改善することができます。もちろん、手術療法や薬物療法という選択もありますが、そこには少なからずリスクがあります。

腹腔鏡手術や開腹手術によって子宮内膜を取り除くのですが、手術後の疼痛や出血、感染症などの合併症が起こる可能性があります。また薬物療法は、一般的にはホルモン剤が使用されます。ただし、ホルモン剤の使用には、副作用として、吐き気、めまい、腹部不快感、頭痛、乳房の腫れや痛み等が報告されています。また、ホルモン剤使用中に、子宮内膜症の発症率の上昇が報告されることがあります。

熟考した不妊治療の選択を

不妊治療において、このようなリスクはつきものです。たとえば排卵誘発剤投与によって、卵巣が疲弊しその影響を受けることがあります。ウサギを用いた実験では、わずかな注射でも卵巣が変性し腫れが生じることが報告されています。
このようなリスクもしっかり踏まえ、まずは自然妊娠という、安全で無理のない、夢を叶えるための最善の努力をすべきかと思います。そこからのセカンドオピニオンとして自分たちにあった不妊治療を選ぶことをお勧めします。
不妊治療の保険適用範囲が拡大されたことは喜ばしいことですが、からだに負担をかける可能性もある体外受精について、妊活に励む皆さんが安易な選択をするようにならないか、懸念があります。

■子宮内膜症とは?

先に取り上げた子宮内膜炎とは異なる疾患です。子宮内膜症は、子宮内膜が子宮の外に広がり、そこでも周期的に出血が起こります。この出血が原因で、痛みや不妊などの症状が現れることがあります。女性ホルモンの影響を受けることが多く、月経周期に合わせて症状が現れます。
卵巣内に子宮内膜症ができて古い血液がたまっていく状態が卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)です。まれに卵巣がんが発生する可能性もあるため、要チェックです。

子宮内膜症とは

■年齢別子宮内膜症推定受療患者数

子宮内膜症は生殖年齢にある女性に大変多い病気です。特に先進国では増加傾向にあるといわれています。その原因は少子化、晩婚化などの社会的変化や、環境ホルモンなどが影響しているのではないかとされています。

年齢別子宮内膜症推定受療患者数
ピンク色帯

美馬 博史(みま ひろふみ)

医学博士
美馬レディースクリニック院長

東京慈恵会医科大学医学部卒。同大学附属病院産婦人科、美馬産婦人科院長を経て美馬レディースクリニック院長を務める。産科婦人科および不妊治療の臨床医としての長いキャリアを踏まえ、妊孕性(妊娠する力)を守る大切さを訴え、体にやさしいホルモン治療、カウンセリング療法、抗酸化食事療法等を積極的に啓蒙している。『自然妊娠力を高める本』(海竜社)、『妊娠したい!と思ったらすぐ読む本』(海竜社)など著書多数。

栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-6 名医が教える妊娠力の高め方』より

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