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栄養書庫 NUTRIENT LIBRARY

一粒のソルガムから始まる新しい循環~食・資源・エネルギー~

天野 良彦  信州大学 特任教授

天野良彦先生

バイオマス研究からソルガムへ

私がソルガムの研究に関わり始めたのは2008年頃のこと。もともとはバイオマス、つまり動植物から生まれた再生可能な資源を研究しており、地域の耕作放棄地の活用や活性化にどう寄与できるかを模索していました。

ソルガムの価値を最大限に生かす

当時の経産省のプロジェクトで、ソルガムを燃料や材料として使う研究を始めたのが最初です。しかし、ソルガムをただ燃料にするだけでは到底採算が合いません。そこで行き着いたのが「カスケード的利用」という発想です。

「食・材料・エネルギー」へつなぐ発想

第一段階としてまずは栄養豊富な実を「食」として利用し、残った茎や葉をキノコの培地や建材などの「材料」として使い、しぼりカスや最終的な廃棄物をメタン発酵させて「エネルギー」に変える。この無駄のない多段的な活用こそ、ソルガムを産業として成り立たせる鍵だと確信しました。

フラボノイド豊富な新品種への挑戦

より食用として付加価値の高い品種を求めて、信州大学農学部の春日重光先生に新品種の開発をお願いしました。その結果誕生したのが、商標登録も完了した「信濃ひめ」です。この信濃ひめの最大の特徴は、極めて高い機能性にあります。我々の研究チームで成分分析を行ったところ、フラボノイド類が非常に多いことが明らかになりました。

ポリフェノールが豊富な新品種

特に有色系のソルガムには、大豆イソフラボンに似た成分が豊富に含まれています。食品の中でも非常に優れたポリフェノール含有量があり、抗酸化作用など様々な健康指標の改善に寄与すると報告されています。

ソルガムがつくる持続可能な未来

こうした健康へのアプローチと並行して、地域で完結する循環社会のモデル構築も進めています。メタン発酵で得られた消化液は良質な肥料になり、それを再び畑に戻すことで、水や化学肥料を極力抑えたエコな農業が実現します。現在、私たちは長野県内で栽培を行いながら、地域ぐるみの循環を実証しています。ソルガムは干ばつなどの過酷な環境でも力強く育ってくれます。

茶色帯

天野 良彦(あまの よしひこ)

信州大学 特任教授

バイオマス資源の研究を基盤に、ソルガムの可能性に早くから着目。食用としての機能性に加え、資源を無駄なく生かす循環型社会の実現に向けた研究と実証に取り組んでいる。

栄養書庫発行 : 『QUICK SERIES Vol.2 ソルガム 健康にも地球にも優しいスーパーフード』より

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