再生医療美容医療専門 世界美容外科学会専門医
肌管理クリニック 松澤宗範 医師

美の現場で、いま期待されていることとは?
現在、アンチエイジングや美容医療の分野で注目の成分として、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)とNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)が挙げられます。私のクリニックでもこれらの成分を美容治療に取り入れており、特にNMNは一時期、点滴での投与が話題になりましたが、今では内服だけでなく外用などにも用途が広がってきました。
NMNの働き
NMNは、体内でNAD+に変換される前駆体です。NAD+はエネルギー生成を支えるだけでなく、DNA修復、抗酸化、細胞の老化防止といった働きも担っています。これが不足すると細胞が傷つき、老化や慢性疾患が加速してしまう可能性があるとされています。年齢とともにNAD+の生成量は自然に減少していくため、NMNを体内に補給することでNAD+の量を維持し、細胞の健康をサポートできると考えられています。
NMNが増加すると
NMNが増加することで、結果的には肌のターンオーバー(新陳代謝)が促進され、老化によるシミやシワ、たるみの改善につながります。また、NMNがNAD+に変換されて、皮膚の代謝が促進されることで、メラニンの排出が早まりシミが予防できる可能性があります。
若返りを促進するNAD+
すっかり有名になったウィスコンシン大学のアカゲザルの比較実験(下記参照)を見ても、NAD+がいかに若返りを促進するかが、よくわかります。遺伝子レベルで働くので、NAD+が不足しているサルと、NAD+発現が促進しているサルでは、明らかな見た目の違いが現れます。
ウィスコンシン大学のNAD+に関する実験


自由に食事が可能な満腹状態のサル2と比べ、カロリー制限を行ったサル1は老化速度が遅く、健康面でも改善が見られた。空腹状態を維持することで、細胞内のNAD+のレベルが上昇し、細胞修復や老化の進行に関わるサーチュインの活性化が促されることがわかった。
Colman, R.J., et al. (2014). Caloric restriction reduces age-related and all-cause mortality in rhesus monkeys. Nature Communications, 5, 3557.

松澤 宗範(まつざわ むねのり)
再生医療美容医療専門 世界美容外科学会専門医
肌管理クリニック医師
近畿大学医学部卒
慶應義塾大学病院 形成外科
佐野厚生総合病院 形成外科
横浜市立市民病院 形成外科
埼玉医科総合医療センター 形成外科・美容外科
肌管理クリニック
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-37 浸透型NMN誘導体の美容力』より
