高齢者の認知機能に関する発表
Johnsonらは、高齢者において、ルテインとDHAが豊富な食物の摂取量が少ないことと、認知機能低下リスクが増すこととの関連を探るため、高齢者の認知機能に対するカロテノイドの効果を調査し、2008年に発表しました。
ルテイン、DHAの認知機能比較
60歳から80歳までの健康な女性49名に対し、プラセボ(薬と同じ外観で人体に害がなく、薬としての効き目もない)を投与する群、ルテインを1日12㎎投与する群、DHAを1日 800㎎投与する群、ルテイン1日12㎎+DHAを1日800mg投与する群に分け検証しました(表1)。
■認知機能に関するルテインとDHAの影響(表1)
実験では、対象者は自分がどの群に属するか分からず、実施する医師も誰がどの群なのか分からない状態で行われました(無作為化、二重盲検)。4カ月のサプリメント投与を行い、測定項目として血清レベル、MPOD(黄斑色素光学濃度)とともに認知機能として「言語の流暢さ」、「記憶力」、「処理速度と正確さ」を比較しました。
調査結果
その結果、ルテインとDHAを合わせて投与された群で「言語の流暢さ」、「記憶力」が大幅に改善され、効率的な学習の傾向も示しました(表1)。一方で「処理速度と正確さ」は影響を受けませんでした。
この調査結果からルテインとDHAの摂取が高齢者の認知機能をサポートする可能性があることが分かりました。
■国際劣化評価スコアによる成人の脳組織中のカロテノイド濃度の比較(表2)
Johnsonらは、認知機能に障害があった人の脳中カロテノイド濃度を測定し、国際劣化評価スコア3でMCI(軽度認知障害)と評価された患者では、評価スコア1、2の成人と比較して脳中のルテインとβカロテン濃度が顕著に低かったことを報告しました。
国際劣化評価スコア
1 :認知機能低下なし
2:客観的な認知機能低下ないが、主観的な訴えがある
3 :軽度認知障害(MCI)
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-24 マルチカロテノイドの健康力』より