重要な役割を果たしているエンド・カンナビノイド・システム
私たちの身体には、エンド・カンナビノイド・システム(ECS)と呼ばれる身体調節機能があります(図1)。このシステムは、脊椎動物が生きていくために備わっている機能で、日常的に起こる生理的プロセスに重要な役割を果たしていることが分かっています。
たとえば、気分や運動能力、免疫活性、血圧、骨密度、痛み、ストレス、空腹感など、情報伝達シグナルによる細胞間コミュニケーションが行われることで、正常に機能しているのです。つまり、ECSが正常に働くことで身体は健康な状態を保っているというわけです。
■全身にあるカンナビノイド受容体/CB1、CB2(図1)
細胞間コミュニケーションを円滑に行うカンナビノイド受容体=レセプターの体内分布図。CB1は脳をはじめとした神経細胞上に多く、CB2は免疫細胞上に多いことが分かります。
カンナビノイドの仕組みが解明
CBDの人体への影響を調査していたセントルイス大学の医師によって、1988年にECSは発見されました。その後、世界中で研究が進み、1990年代に「アナンダミド」と「2-AG」と呼ばれる内因性カンナビノイドと、それらと結合するカンナビノイド受容体(レセプター)であるCB1(神経細胞上に多い)、CB2(免疫細胞上に多い)の仕組みが解明されました(図2)。
■エンド・カンナビノイド・システム(ECS)の仕組み(図2)
細胞にある鍵穴(カンナビノイド受容体)に、鍵である内因性カンナビノイドが結合することで、細胞間のシグナル伝達が行われています。
カンナビノイド欠乏症
また、最近の研究では、外部からの強いストレスや加齢に伴う老化によって、ECSの働きが弱ると、内因性カンナビノイドが減っていく、いわゆる「カンナビノイド欠乏症」になることが判明しました。
CBDがカンナビノイド欠乏症を防ぐ
CBDは、内因性カンナビノイドを分解するFAAH(脂肪酸アミド下垂分解酵素)を阻害したり、内因性カンナビノイドの再取り込みを阻害したりすることでECSを活性化させるため、様々な疾患のもとになるカンナビノイド欠乏症を防ぐ効果があると考えられています。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-29 CBDの秘密』より