
腸から全身へ
腸の中で生まれた短鎖脂肪酸は、大腸の中だけで働くわけではありません。腸から吸収されて血流にのると、体じゅうを旅しながら、さまざまな臓器や細胞にメッセージを届けていきます。
カギとなるレセプター
そのカギになるのが「受容体(レセプター)」と呼ばれるスイッチです。短鎖脂肪酸は肝臓や脂肪細胞、免疫細胞など、全身のいたるところにある受容体に結合し、「脂肪をため込みすぎないように」「炎症をおさえて」などのシグナルを送ります。
具体的にはこんな効果が期待されています。
- 栄養の吸収を助け、体に必要なエネルギーを効率よく取り込む。
- お腹の調子を整え、便通やガスだまりを改善する。
- 美肌との関連も研究されており、肌状態に良い影響を与えるとされている。
- 代謝アップ。血糖値や脂質代謝が安定し、エネルギーを効率よく使える体になる。
- ウェイトマネジメント。食欲を調整するホルモンの分泌を助け、太りにくい体づくりをサポート。
- 免疫機能の調整作用について、風邪や感染症ついても報告がある。
- メンタルヘルス。腸と脳は密接に関わっており、短鎖脂肪酸は脳に届いて不安やストレスをやわらげる方向に働くと考えられている。

こうした幅広い作用を持つため、短鎖脂肪酸は「腸から全身へ健康を届ける宅配便」ともいえるでしょう。
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-13 腸内細菌がみんな元気に!短鎖脂肪酸を育てよう』より





