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栄養書庫 NUTRIENT LIBRARY

免疫を整え、老化にブレーキをかける

鏡の中の私

不調の背景

年齢を重ねると、「風邪をひきやすくなった」「疲れが取れにくい」「肌の調子が良くない」といった変化を感じる人が増えてきます。こうした不調の背景には、体の免疫バランスや慢性的な炎症の問題が隠れていることが多いのです。

短鎖脂肪酸は免疫と炎症の両方に関わっている

短鎖脂肪酸は、この免疫と炎症の両方に深く関わっています。腸内でつくられた酢酸やプロピオン酸は免疫細胞のスイッチに働きかけ、過剰な反応を抑えつつ、必要な防御力はしっかり維持する調整役を果たします。酪酸には炎症を鎮める働きがあり、慢性炎症による老化(“炎症性老化”=インフラメジング)を抑える効果が期待されています。

制御性T細胞を誘導する

また、短鎖脂肪酸は「制御性T細胞(Treg)」を誘導し、免疫の暴走を防ぐことでも知られています。これにより、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状をやわらげたり、自己免疫疾患のリスクを下げる方向に作用することも報告されています。

腸は時を戻せる特別な場所

さらに興味深いのは「若返り」の視点です。動物実験では、若い腸内細菌を移植すると高齢個体の体が若返る現象が観察され、その鍵を握るのが短鎖脂肪酸を産生する菌であることが示されています。「腸は時を戻せる特別な場所」。このメッセージは、単なる比喩ではなく科学的な裏付けに基づいた考え方です。

腸から脳へ―若返りのスイッチ

2020年、アメリカのリー博士らの研究(DOI:10.18632/aging.103900)では、無菌マウスに若いマウスまたは高齢マウス由来の腸内細菌を移植しました。その結果、若齢由来の腸内細菌を受けた群では糞便中の短鎖脂肪酸(酪酸やプロピオン酸)が増加し、学習や記憶テストの成績が改善しました。腸内細菌とその代謝産物が脳機能の老化に深く関わり、FMT(糞便微生物移植)と短鎖脂肪酸の増加が「若返り効果」に結びつく可能性を示しています。

脳が若返る

若い腸内細菌で増える短鎖脂肪酸

若齢マウス由来の腸内細菌を移植された無菌マウスでは、酪酸やプロピオン酸などの短鎖脂肪酸が有意に増加しました。これは学習・記憶の改善と併せ、腸‐脳の「若返り効果」への関与を示唆します。

短鎖脂肪酸の種類
Lee et al., Aging 2020, DOI:10.18632/aging.103900 を参考に作成。

栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-13 腸内細菌がみんな元気に!短鎖脂肪酸を育てよう』より

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