
DNAの構造解明から広がった生命科学
核酸の研究は、生命科学の歴史そのもの。1953年、DNAの二重らせん構造が明らかになり、生命の設計図を読み解く扉が開かれました。そこから遺伝子研究、ゲノム解析へと研究が進み、さらに再生医療、がん研究、老化研究など、さまざまな生命科学の分野へとつながっていきました。
核酸を医療に生かす新しい時代
そしていま、世界の研究者が注目しているのは、遺伝子情報をどう守るか、RNAをどう医療に使うか、細胞の修復やエネルギーをどう支えるかという新しいテーマです。その中でも注目されているのがRNA医療です。mRNAワクチンをはじめ、核酸を使って体内の情報の流れに働きかける技術が急速に進んでいます。

ノーベル賞が示す核酸研究の広がり
細胞内で生じるDNA損傷を修復し、遺伝情報を守る「DNA修復のメカニズム」を分子レベルで解明したトーマス・リンダール博士、ポール・モドリッチ博士、アジズ・サンジャル博士の3名に2015年ノーベル化学賞が授与されました。また、ペンシルベニア大学のカタリン・カリコ博士とドリュー・ワイスマン博士は、mRNAワクチンの開発につながる研究により、2023年ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。現在も世界中の大学・研究機関で、RNA医療、核酸医薬、NAD⁺、ミトコンドリア、老化制御の研究が進んでいます。

老化研究で注目されるNAD⁺とサーチュイン
もうひとつの大きなテーマが、老化とDNA修復です。DNAは紫外線や酸化ストレスなど、さまざまな要因によって日々傷ついています。体にはその傷を直すしくみがありますが、DNA損傷が蓄積すると、細胞の働きにも影響を及ぼすと考えられています。ここで注目されるのが、NAD⁺とサーチュインです。NAD⁺はエネルギー代謝、DNA修復、ミトコンドリア機能にも関わる分子であり、NMNやNRといったNAD⁺前駆体も注目されています。
AIとビッグデータが加速させる核酸研究
いま核酸研究は、AIとビッグデータの活用によってさらに加速しています。DNAやRNAに関する膨大な情報が解析され、医療、老化、美容に関わる研究、個別化医療・栄養など、さまざまな分野へ研究が広がっています。
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-16 核酸/ Nucleic Acid 最新研究エビデンス集』より















