テストステロン減少で影響する症状
テストステロン・レベルの低下は性機能だけでなく、頻尿をはじめとする膀胱に関連する症状にも影響しています。LOH症候群を呈している男性にテストステロン含有のジェルを皮膚に塗る方法で1年間投与した臨床試験では、排尿症状や膀胱機能が改善したとの結果が得られました(表1)。
■テストステロン補充療法前後での臨床データ比較(表1)
テストステロン補充後に、男性更年期障害を測るAMSスコアは大きく低下し、テストステロン値、勃起機能は倍近く増加した。膀胱容積と膀胱のコンプライアンスは有意に上昇し、尿流動態検査時、最大尿流率を得ている状態の排尿筋圧は有意な低下が見られた。
※1男性更年期障害チェック ※2国際勃起機能スコア ※3国際前立腺症状スコア ※4前立腺特異抗原
テストステロンは膀胱機能の向上も期待
テストステロン補充療法によって性機能の改善、膀胱容量の増加、排尿筋圧の低下で下部尿路症状や膀胱機能の向上も期待できることが確認されたのです。これはテストステロンが筋肉を柔軟にした結果と考えられます。
筋トレとテストステロンの関係
テストステロンが減ると筋肉が減少し脂肪が増えることから、肥満になりやすくなるため、様々な効果をもたらす筋トレは中年以降の男性にこそおすすめです。筋トレなどの活動によってテストステロン・レベルは上昇します。この上昇はしばらくすると元の状態に戻るため一過性のものと考えられますが、運動の種類によってはテストステロンを上昇したまま維持することができます。
テストステロンレベルを維持する筋トレ
筋力の限界を100%として、70%の力でスクワットを10回×3セット行ったグループと、よりきつい85%負荷のウエイトリフティングを3回×8セット行ったグループでは、スクワットグループのテストステロン維持率が高かったとの結果が報告されています(図1)。負荷をかけ過ぎず、ある程度の回数をこなす筋トレはテストステロンを高レベルで維持することが期待できます。
■筋トレ後のテストステロン値の変化(図1)
背中や胸、肩、太もも、お尻には体のなかでも大きな筋肉があります。これらの部位を中心にトレーニングすることで、テストステロン・レベルを上げることが期待できます。さらに筋トレはテストステロンを維持する働きもあります。
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-4 テストステロンの健康力』より