肌荒れの原因
肌にとって有効な働きをする美肌菌やアクネ菌は、角質の表面や細胞の間に棲んでいます。そのため、洗顔のし過ぎや化粧品の化学成分、間違った入浴法などが原因となり、美肌菌が住みにくい状態の肌になると、替わりに黄色ブドウ球菌といった悪玉菌が増えてしまうことがあります。悪玉菌が増えると、さらに角層が壊れてバリア機能が低下し、肌荒れや乾燥を引き起こすという悪循環に陥ってしまいます(図1)。
■角層の働き(図1)
外から受ける刺激、雑菌や細菌、熱や紫外線などから肌を守っているのが角層です。健康な肌の角層は10~30%の水分を含み人体を保護しており、たとえば角層がなければ外的刺激や水分の喪失によって、人間は24時間も生存できないと言われるほど重要な役割を担っています。
弱酸性に保つことで肌トラブルを防ぐ
また、 健康な肌は一般的にpH4.5 ~ 5.5 の弱酸性に保たれています(図2)。ほとんどの病原菌は酸性が苦手なため、弱酸性に保たれた肌表面から病原菌が侵入することを防いでいるのです。美肌菌とアクネ菌は皮脂や汗を食べて脂肪酸や有機酸を分泌しています。これらの酸が病原菌だけでなく、悪玉菌の黄色ブドウ球菌が増殖することを抑えています。
■健康な肌は弱酸性(図2)
生まれたての赤ちゃんの肌は中性に近く、生後数年かけて弱酸性になっていきます。そのため、摩擦などにも弱くとても敏感なのです。対して大人の肌は弱酸性に保たれていますが、pHは年齢・性別・皮膚の部位などで異なります。さらに加齢によって肌は中性に近づいていきます。
角質を育てることで、美肌菌が元気になる!
角質の破壊、かぶれ、ふやけは美肌菌にとって天敵です。普段からよかれと思って使っている高価な化粧品や洗顔方法などが、もしかしたら美肌菌を殺してしまっているかもしれません。
美肌菌は誰もが持ち合わせている、大切な人生のパートナーです。美肌菌にとってのよい環境を整えてあげることは、角層を大切にすることにつながり、バリア機能を健康に保つことができるのです。
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-5 美肌菌きれい研究ブック』より