ポリフェノールの一種ケルセチン
ケルセチンは植物に含まれるポリフェノールの一種で、強力な抗酸化作用を持つフラボノイドです。とくにタマネギや茶葉、リンゴなどに多く含まれ、抗炎症作用や免疫機能の向上、心血管の健康維持に役立つとされています。
老化細胞除去能力
このケルセチンは、いまもっとも注目されているセノリティクス成分のひとつ。メイヨークリニックのジェームズ・カークランド博士をはじめとする研究者たちが、ケルセチンを活用した臨床試験を進めており、老化細胞を除去する能力が確認※1されています。
感染症生存率が50パーセントアップ
例えば、動物実験では、ダサチニブとケルセチンを摂取した老齢マウスが、何もしなかったマウスに比べてウイルスに対する耐性が高まり約50%の生存率向上を示したと報告されています。老化細胞が除去されることで免疫機能が改善され、ウイルス感染が減少したためと考えられています。
ミトコンドリアの機能をサポート
さらに、このケルセチンは、老化細胞の除去だけでなく、ミトコンドリアの機能をサポートしエネルギー代謝を最適化する作用や、認知症防止、抗ガン作用や抗ウイルス作用も持つ可能性が示されています。
2021年には、権威ある科学誌「Science」に掲載され、その効果が裏付けられています。
※1 Senolytics reduce coronavirus-related mortality in old mice” C. D. Camell et al, Science 2021 Jul 16
認知機能改善
65歳から84歳を対象とし、ケルセチン高含有たまねぎやケルセチンを含まない白たまねぎを摂取する試験を行った。摂取期間の前後には、一般的な認知機能検査であるミニメンタルステート検査などを実施。年齢の若い群では、ケルセチン高含有たまねぎを摂取した人たちのミニメンタルステート検査の点数が高くなった。
体脂肪低減
20歳以上から65歳以下の200名を、ケルセチン配糖体を配合した飲料を摂取する群とケルセチン配糖体を配合していない飲料を摂取する群に分類、12週間継続摂取後、ケルセチン配糖体を配合した飲料摂取群では、摂取前に比べ腹部脂肪面積が有意に減少し、ケルセチン配糖体の体脂肪低減効果を確認することができた。
※Nishimura, M. et al.(2017)A randomized, double-blind, placebo-controlled study evaluating the effects of quercetin-rich onions on cognitive function in elderly subjects. J. Functional Foods in Health and Disease 7, 353-374.
※小堀真珠子(2016)「タマネギの認知機能改善効果の検証と利用技術開発」、『JATAFFジャーナル』、12、26-30.
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-8 セノリティクス 老いなき世界への扉』より