タンパク質は日々作り替えられる
食事から摂ったタンパク質は、筋肉や骨、臓器など身体の各部位を作り、ホルモンや酵素などの材料になり、免疫物質、栄養素の運搬や神経伝達などを行っています。身体を構成するタンパク質は、分解と合成が繰り返され、日々新しく作り替えられています。
タンパク質の役割➀構成材料
タンパク質には3つの大きな役割があります。第1に筋肉や臓器などの構成材料になること。私たちの皮膚や髪、爪、骨と筋肉、また臓器や腱、髄までがタンパク質によって作られています。そのため、タンパク質が不足すると筋肉量の減少や肌や髪のトラブルなど、見た目の衰えや体力の低下を招きます。
タンパク質の役割➁バランス調整
第2に酵素やホルモンのバランスを調整すること。生命活動を担う消化や吸収、分解、排出、呼吸や免疫力は、酵素による化学反応によって行われています。
その働きを制御するのがホルモンです。タンパク質が不足すると酵素やホルモンが正常に働かなくなり、免疫機能が低下するなど生命活動に支障をきたす可能性もあります。
タンパク質の役割➂神経伝達物質の働きの促進
第3に細胞同士や神経伝達物質としての働きの促進です。タンパク質の構成成分であるチロシンやフェニルアラニン、トリプトファンなどの必須アミノ酸は神経伝達物質を作ります。100種類以上あるといわれる神経伝達物質が正常であることで、私たちは精神的に安定した生活を送ることができるのです。
生命活動を支える
三大栄養素の一つとしての印象が強いタンパク質ですが、このように体内で重要な役割を担っていることはあまり知られていません。タンパク質は健康な生命活動を支えるとても重要な物質なのです。
■体内のタンパク質とその役割
タンパク質には細胞や体の構造を作る「構造タンパク質」、筋肉にある「収縮タンパク質」、酵素として働く「酵素タンパク質」、血液中で栄養を運ぶ「運搬タンパク質」、免疫にかかわるタンパク質などがあり、生命活動の維持に欠かせません。
■タンパク質と神経伝達物質
神経細胞で発生した微弱な電流は細胞の末端へ流れて、シナプス小胞からタンパク質が放出されます。このタンパク質を神経伝達物質といい、隣り合った神経細胞受容と結合することで、神経細胞が情報をやり取りしています。脳の健常な発達、維持にタンパク質は欠かせないのです。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-34 核酸の秘密』より