
由来
α-ピネン(Alpha-Pinene)は、松やローズマリーなどの針葉植物に豊富に含まれるモノテルペンで、森林浴の香りの中心成分です。古代ギリシャや中国では呼吸器系や消毒目的で植物精油として利用されてきました。自然由来の清涼感をもつ成分として、現在も香料・吸入療法・スキンケアなどに使用されています。
特徴
α-ピネンは気道拡張作用や抗炎症、抗菌効果のほか、記憶保持や集中力の向上にも関連すると言われています。脳内のアセチルコリン分解酵素の阻害作用が確認されており、認知機能を保つサポート成分としての可能性が研究されています。
香りの印象
清々しくシャープなグリーン調。森林の中にいるような爽やかさ。
主な植物源

森の香りで睡眠と記憶を支える
α-ピネンはマツや樹木の香り成分で、睡眠の質向上や記憶保護、神経炎症抑制など、多方面にわたるポジティブな効果が研究されています。
森林浴のあの清々しさは、実は脳や睡眠、記憶にも届く可能性があります。
エビデンス :α -ピネン

マウスに経口投与された-α-ピネンがG A B A _ A – ベンゾジアゼピン受容体に直接作用し、非レム睡眠( N R E M S )を増加し、睡眠に入るまでの時間も短縮されました。これは不眠対策に用いられる薬(ゾルピデム)と同様のメカニズムで、自然由来の穏やかな睡眠サポートが期待できます。
DOI :10.1124/mol.116.105080


記憶障害が引き起こされたラットにα- ピネンを注射。すると、空間作業記憶や回避学習能力が改善され、海馬では記憶形成に関わる分子経路の活性が回復しました。これは、記憶低下に悩む人への朗報です。
DOI :10.3389/fnmol.2023.1202232

複数の研究をまとめたFrontiers誌のレビューでは、α-ピネンがマウスの脳で酸化ストレスや神経炎症のシグナルを抑制することが報告されています。例えば、中枢神経系の炎症モデルでは、酸化や炎症を繰り返すと委縮しがちな神経が、α-ピネンによって保護されていたと明示されています。これは、認知症予防や神経変性疾患への植物由来アプローチとして大きな示唆となる内容です。
DOI :10.3389/fpsyt.2021.583211
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-12テルペン/TERPENE最新研究エビデンス集』より
