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大豆イソフラボン研究の過去・現在・未来

武庫川女子大学 国際健康開発研究所 所長・京都大学 名誉教授
家森 幸男 医学博士

家森幸男博士

どうすれば脳卒中を予防できるのか

大豆イソフラボンの驚くべき効果を発見できたのは、「どうすれば脳卒中を予防できるのか?」という研究がきっかけでした。
1960年代、当時の日本では、結核に代わって脳卒中が死因の第一位になっていました。加齢現象だから仕方がないという風潮のなか、祖父母を脳卒中で亡くしていた私は、脳卒中をどうにか防ぎたかったのです。

脳卒中と大豆

研究のために「100%脳卒中を発症するネズミ」をつくるのに10年かかりました。そして脳卒中の予防には、何を食べればよいのかを調べました。「脳卒中が多い地域はたんぱく質が足りないのではないか?」「肉ではなく、魚や大豆のたんぱく質がよいのではないか?」という考えのもと、ネズミに食べさせると、なんと、脳卒中を起こさない!「脳卒中を起こさないのだから、大豆などにはきっと予防に役立つ成分があるのでは」と、さらに研究を進めました。

調査の結果

その後、世界60数地域を巡り、世界中の人が何を食べて脳や心臓などの血管の病気になるのかを調査しました。聞き取り調査だけでなく、24時間の尿を採取して大豆イソフラボンの量も測りました。尿検査の装置を開発するのに2年かかりましたが、貴重なデータが取れました。結果、大豆と魚の両方を食べているグループが最も血管病が少なく健康であることが判明。そのグループには日本人が9割を占めていました。
これまでの研究で確実にいえるのは、イソフラボンを含む大豆を摂っていると、心臓死が少ないということです。実際に心筋梗塞で死亡する日本人は先進国の中では一番少ないのです。

女性ホルモンに代わるインフラボン

続いて世界調査で注目したのは、更年期です。更年期になると女性ホルモンのエストロゲンが減少し、血圧やコレステロールが上がるのが一般的です。
しかし世界には上がらない国や地域がある。食事との関係を調べると、大豆を食べる習慣があるところでした。研究を重ね、イソフラボンには女性ホルモンに代わる作用があることがわかりました。これが1990年代の初めのことです。

そして血圧測定の際の印象で肌がきれいな女性が多いのは大豆を食べる習慣のある長寿地域ということも分かって来ました。女性ホルモンが血液を流れると、血管が拡張して血液サラサラ効果が生まれます。末梢まで血の巡りがよくなるため肌もきれいになるのです。脳や心臓、腎臓などの血の巡りがよければ、長寿になるのも当然です。女性は更年期以降、大豆イソフラボンを意識的に摂ることが大事です。

大豆イソフラボンの健康長寿のチカラ

一方、女性と比べて寿命が短く、遺伝子(ゲノム)では不利な男性も、大豆イソフラボンを摂取すると動脈硬化を抑える善玉コレステロールが増えるなど食習慣には遺伝子を超える「ゲノムプラス」の健康長寿のチカラがあるのです。
大豆イソフラボンの研究は半世紀を超え、いまや乳がんや前立腺がん、糖尿病など多くの領域での予防や軽減効果が報告されています。手軽に摂れるサプリメントも開発されており、その最先端をいくのが麹菌発酵大豆イソフラボンです。味噌や醤油のように麹菌で発酵させた「アグリコン型イソフラボン」は吸収率と栄養価が高く、塩分とりすぎの心配もありません。大豆を食べる習慣のない国の人々や腎臓病の人なども安心して摂取できます。

植物に触れる手

家森 幸男(やもり ゆきお)

医学博士
武庫川女子大学 国際健康開発研究所 所長・京都大学 名誉教授・兵庫県健康財団 会長・NPO法人 世界健康フロンティア研究会 理事長

世界で初めて脳卒中ラットの開発に成功し、脳卒中が大豆などの適切な栄養で予防出来ることを実証。さらにWHOの協力で世界の60地域以上を30年かけて調査し、和食に多い大豆や魚介類を摂取する地域では、生活習慣病のリスクが少なく健康寿命の延伸が食事で可能である事を実証してきた。ベルツ賞(1993)、紫綬褒章(1998)、杉田玄白賞(2004)、瑞宝中綬章(2012)など受章。『大豆は世界を救う』(法研)『世界一長寿な都市はどこにある?』(岩波書店)他、著書多数

栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-20 麴菌発酵大豆イソフラボンの秘密』より

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