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栄養書庫 NUTRIENT LIBRARY

多くの健康に役立てられる露地栽培アガリクス

東京薬科大学名誉教授
大野 尚仁 薬学博士

大野尚仁博士

アガリクスの研究実績25年以上

私は40年以上にわたり、キノコなどの真菌に含まれる免疫増強物質について、特に抗腫瘍効果(がんを攻撃して縮小させる効果)を中心に研究を重ねてきました。
露地栽培アガリクスに関しては、アガリクスが注目を浴び始めた当初から研究を開始し、これまで 25年以上におよぶ研究実績があります。研究成果は日本薬学会や国際免疫学会、国際薬用キノコ学会など国内・国際学会で発表を行い、これまでに露地栽培アガリクスの安全性・有効性に関して28本の国際論文を発表してきました。(2023年8月時点)

露地栽培したアガリクスの成分

アガリクスというとがんの補完代替医療の分野で有名な薬用キノコですが、一般的に、アガリクスは菌株、産地、栽培方法によって含有成分が大きく変わってきます。
ブラジルで露地栽培したアガリクスの成分分析を日本食品分析センターで行った結果、多量のタンパク質、食物繊維を含み、ビタミンでは、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ミネラルに関しては、鉄分、カリウム、リン、マグネシウム、亜鉛、銅、マンガン、セレンを多量に含んでいることを確認しました。

露地栽培とハウス栽培の違い

一般的なハウス栽培アガリクスと比べると、太陽光の下で露地栽培されたアガリクスはサイズが非常に大きく、主成分であるβ-グルカンは 1.5倍、ビタミンDを多く含むといった違いが確認されました。また、抗酸化活性を測定した結果もハウス栽培に比べ、2~5倍強いといった結果が出ています。

アガリクス

露地栽培アガリクスの安全性

露地栽培アガリクスの安全性に関しては、残留農薬検査と重金属分析を行い、残留農薬は検出されず、重金属含有量も基準値以下でした。また、マウス試験や、通常量の3~22倍を長期間(6ヶ月)摂取したヒト臨床試験でも、露地栽培アガリクスの安全性が確認されています。

アガリクスが打開策の一つになる可能性

有効性に関しては、免疫増強作用や抗がん剤の副作用軽減作用などがん補完代替医療の分野を中心に解明されています。現在、研究・技術の進歩によって、様々ながんの病態が解明されつつありますが、実際の治療では劇的な改善は起きておらず、標準治療が効果を上げることができない、いわゆる「がん難民」の患者も依然として多いのが現状です。アガリクスを含むがんの補完代替医療および統合医療が、このような現状に対する打開策の一つとなることを期待しています。

研究が広がり美容分野でも

露地栽培アガリクスを含むキノコの研究は、疲労感の軽減などの健康増進や育毛、創傷治癒(美肌)など美容分野まで広がっていますが、まだまだ分からない未知の領域が多く残っています。今後も研究が継続されることで新しい発見がされ、多くの方々の健康に役立てられることを願っています。


大野 尚仁(おおの なおひと)

薬学博士
東京薬科大学 名誉教授

1982年3月東京薬科大学大学院薬学研究科後期課程修了(薬学博士)。同年4月東京薬科大学薬学部第一微生物学.教室助手、講師、助教授を経て、2001年1月東京薬科大学薬学部免疫学教室教授に就任。その後、2015年4月―2019年3月薬学部長となる。2020年3月定年退職し、現在は東京薬科大学名誉教授。

栄養書庫発行 : 『栄養書庫フォーカス-5 露地栽培アガリクス』より

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