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可能性が広がる健康素材赤いカロテノイドアスタキサンチン

一般財団法人 生産開発科学研究所 食物機能研究室室長
眞岡 孝至 薬学博士

眞岡孝至博士

カロテノイドとは

私は京都薬科大学在学中に卒業研究のテーマとして一般に赤トンボと呼ばれるアキアカネのカロテノイド成分研究を手掛けて以来、現在まで40年以上もカロテノイドの研究に携わってきました。
カロテノイドとは、赤、橙、黄色などを示す脂溶性テトラテルペン色素のことで、自然界に生きる微生物、植物、動物に広く存在しています。天然のカロテノイドはおよそ800種類が報告されていますが、代表的なものとしては、本書のテーマでもあるエビやカニの甲羅やサケ・タイといった魚類に含まれるアスタキサンチン、トマトのリコピンやニンジンのβ-カロテン、卵黄のルテインなどがあります。カロテノイドは光合成生物が生産する物質量の 0.1%を占めるといわれ、その生産量は年間約1億トンと考えられています。二次代謝産物としては天然に最も広く分布する化合物の一つなのです。

動物は自身の体内でカロテノイドを生合成できない

しかし、微生物と植物は酢酸やメバロン酸などからカロテノイドを生合成することができますが、動物は自身の体内でカロテノイドを生合成することはできません。動物の体内に存在するカロテノイドはすべて食物から摂取したものに由来しています。数々の食物連鎖を経て蓄積され、さらに代謝変換されるため、動物のカロテノイドにはさまざまな構造の化合物が存在するのです。

アスタキサンチンとサケ

サケを例に挙げてみましょう。水産動物であるサケは自身の体内でアスタキサンチンを作ることができません。その起源は藻類が生合成したβ-カロテンです。この藻類を食べた甲殻類がβ-カロテンを体内でアスタキサンチンに代謝変換し、次に大洋を回遊中のサケが甲殻類をエサとして食べることでアスタキサンチンを体内、特に筋肉に蓄積します。自然界の食物連鎖によって、サケのなかにアスタキサンチンが取り込まれていくのです。

サケのオスは繁殖期になると筋肉のアスタキサンチンを表皮に移行させて体色が赤くなり、性的成熟度をメスにアピールします。一方、サケのメスは卵にアスタキサンチンを移行させ、卵を成熟させます。サケは繁殖・産卵期になると河川を遡上することで知られていますが、このとき多くのエネルギーを消費し、酸化ストレスにさらされます。実はこの酸化ストレスの防御にもアスタキサンチンが役立っているのです。

そして遡上、繁殖のためにアスタキサンチンを使い果たし、産卵をすませた後のサケの筋肉は白く変化します。一方、河床に産み落とされたサケの受精卵に含まれるアスタキサンチンは、太陽光や紫外線といった障害から胚を護り、成長過程で起こるさまざまな酸化ストレスから仔魚を護ります。

アスタキサンチンイメージ

アスタキサンチンをはじめとするカロテノイドとヒトの健康

このような例は、オホーツク海に生息するクリオネなど他の多くの水産動物でも認められ、アスタキサンチンをはじめとするカロテノイドが動物の生殖や発生の過程において重要な役割を担い、また免疫力の向上にも役立っていることが明らかになっています。
日本はカロテノイド研究で世界をリードする立場にありますが、私たちが長年行ってきた「生物はなぜカロテノイドを必要としているのか?」という基礎研究を端緒に、その生理作用に着目した〈カロテノイドとヒトの健康〉分野での研究と実用化が進められています。アスタキサンチンをはじめとするカロテノイドを有効素材として、新たな健康への扉が開き始めているのです。


眞岡 孝至(まおか たかし)

薬学博士
一般財団法人 生産開発科学研究所 食物機能研究室室長

京都薬科大学大学院修士課程修了。その後、京都薬科大学大学助手(天然物化学)を経て、1991年薬学博士に。93年より財団法人生産開発科学研究所に勤務し、現在は同研究所食物機能研究室の室長を務める。2017年一般財団法人生産開発科学研究所の理事に就任。主な研究テーマは、天然物化学、特に天然カロテノイドの構造研究とそれらの生理活性ならびに利用の研究。天然の抗酸化活性成分の食品、水畜産への応用など。

栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-23 アスタキサンチンの美容・健康力』より

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