大阪府立大学名誉教授
中野 長久 農学博士
名前の由来
ユーグレナは「動物なのに光合成ができる」驚異的な能力を持った生き物。人類が誕生する以前の5億年前から存在していたのではないかと言われており、『ミドリムシ』という和名でも知られています。
『ユーグレナ』の『ユー』はラテン語で『真の』、『グレナ』は『目』という意味。100倍の顕微鏡で見ると、ユーグレナが泳ぐ方向に向かって鞭毛(べんもう)があり、その付け根の部分に赤い眼点があります。これが名前の由来です。
1964年から研究を開始
この赤い眼点は、実際に光を感知する目のような役割も担っています。動物として目を持っている原生動物でありながら、葉緑体を持ち光合成もおこなう植物でもある。面白い生物なので調べて見ると、生化学的な機能が全く分かっていない。そこで恩師の北岡正三郎教授とともに1964年頃からユーグレナの研究を開始しました。
さまざまな可能性を秘めた生命体
ユーグレナは「藻」(微細藻類)の仲間です。大きさは体長約0.03mm~0.07mm=30μm(ミクロン)~70μm(ミクロン)。植物の性質と動物の性質の2つの特徴をあわせ持つ生物は、地球上でもとても珍しく、さまざまな可能性を秘めた生命体だといわれています。約50年間以上研究を続けていますが、この生き物にはまだ解明されていないことがたくさんあります。
中野 長久(なかの よしひさ)
農学博士・大阪府立大学名誉教授
東北大学大学院博士課程修了。1992年 -2000年ユーグレナ研究会会長、2001年-2003年日本ビタミン学会理事を歴任。1996年日本ビタミン学会賞受賞、2015年経済産業省第6回ものづくり日本大賞優秀賞受賞。ユーグレナ研究の第一人者。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-16 ユーグレナ・パラミロンの秘密』より