大妻女子大学家政学部教授
青江 誠一郎 農学博士
パラミロンは難溶性の食物繊維
パラミロンはユーグレナ属だけが産生する多糖で、ユーグレナ属の細胞内に存在しています。鎖状のβ-グルカンが三重に螺旋状にねじり合って、繊維状になったものが集まって、粒のような形を作っています。
パラミロンは、難溶性の食物繊維です。
他のβ-グルカンは水溶性のものであったり、分子を細かく切って水に溶けやすくなったりするものがほとんど。水に溶けにくいということは、腸を通るときに粒子形態が変化しないので、腸に刺激を与えその機能を活性化します。
パラミロンの特殊な構造
このような食物繊維は他にはありません。例えば野菜の食物繊維は蜂の巣のような構造をしており、スポンジのように水を吸って、腸を通じて体外に出ていきます。ところがパラミロンの特殊な形状や大きさは、腸粘膜を刺激し活性化させるのではないかと考え、現在研究を続けているところです。
コレステロールを下げる機能
パラミロンは難溶性食物繊維なのですが、本来ならば水溶性物質しか持っていない機能も併せて持っていることが分かってきて、「パラミロンは機能性の高い物質である」と話題になっています。
水溶性の食物繊維の多くが、コレステロールを下げる機能を持っています。粘り気のあるものが腸を通る時に糖の吸収を抑えるのですが、難溶性のパラミロンにもコレステロールを下げる効果が確認されています。
青江 誠一郎(あおえ せいいちろう)
農学博士・大妻女子大学家政学部食物学科教授、学部長
パラミロン研究会副会長。千葉大学大学院博士課程修了。雪印乳業技術研究所を経て、2003年に大妻女子大学家政学部助教授に就任、2007年より教授。2016年より家政学部学部長。食物繊維摂取とメタボリックシンドロームの関係などを専門としている。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-16 ユーグレナ・パラミロンの秘密』