昭和大学薬学部教授
佐藤 均 薬学博士
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CBDは医薬品として証明されている
CBD(カンナビジオール)は大麻草から抽出される成分で、植物栄養素のひとつです。大麻草と聞くと心配される方もいるかもしれませんが、CBDはWHOが安全性を科学的に認め、FDA(アメリカ食品医薬品局)では医薬品として承認されています。
CBDが海外で注目され始めたのは約10年前のことで、「薬物動態学」を長年に渡って研究している私の元にその情報が届きました。すぐさま調べると医薬品にもなりうる可能性を充分に持っていることがわかり、本格的に研究をスタートしました。
2024年12月に改正大麻取締法
日本でも2020年に厚労省により輸入ガイドラインが発表され、2021年にはそれまで規制されていた抽出する部位規制を改正する方針が検討され始めました。改正大麻取締法は麻薬及び向精神薬取締法として2024年12月に施行され、部位規制からTHC残留濃度値による成分規制になりました。
身体調節機能(エンドカンナビノイドシステム)とCBDの関係
CBDがこのように広く注目されるようになったのは、エンドカンナビノイドシステム(ECS)という身体調節機能の仕組みの解明が進んだのがきっかけでした。ECSは私たちが生きていくために必要不可欠なシステムで、このECSが不調になると、細胞間コミュニケーションがうまくいかず、様々な疾病を引き起こす原因になります。
CBDはエンドカンナビノイドシステム(ECS)に働きかけることで、てんかんやガン、アトピー性皮膚炎、肥満など、様々な病気に対する予防効果があるという論文が数多く発表されています。近年はさらに幅広い分野からの論文が発表されていて、その数は年々増加しています。
CBDと美容商品
様々なCBD関連の論文が発表される中、特に効果が期待され論文数が増加しているのが、美容に関係する効果効能です。ECSは皮膚や毛髪にも存在しているため、CBDを塗布することで、抗炎症作用や抗酸化作用などが期待できます。実際に日焼けによる炎症を抑える、肌のキメを整える、発毛をうながす効果などが解明されています。
また、最近の研究ではアクアポリン3と呼ばれる肌の保水成分を増加させるという新しい論文発表もあり、美容とアンチエイジングの観点からさらに注目を集めています。
CBDは肌に直接塗る・パッチを貼るといった経皮吸収による吸収率が高いのも特徴です。このためクリームやパック、リップクリームやシャンプーといった製品に配合されることで、美肌、美髪などの効果が期待できるとして現在は多数の商品が流通しています。
すべての人の願いをサポートする成分
人生100年と言われる今、今後もこの勢いは止まることなく、老若男女を問わず、いつまでも美しく活力のある生活を送りたいという人々は増えています。CBDがすべての人の願いをサポートしていく成分になると確信しています。
佐藤 均(さとう ひとし)
薬学博士・薬剤師
昭和大学薬学部教授
東京大学薬学系研究科(薬剤学教室)修士課程修了後、金沢大学薬学部助手、富山医科薬科大学付属病院薬剤部助手、アメリカ国立衛生研究所(NIH)・ガン研究所(NCI)奨励研究員、スイス・パーゼル研究所客員研究員を経て、東京大学医学部助教授となる。2000年から昭和大学薬学部教授(臨床分子薬品学教室)に就任。現在は同大学の基礎医療薬学講座薬物動態学部門を担う。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-32 CBDの美容力Ver.2』より