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マイタケとの出会い MD/MXフラクションとは?

神戸薬科大学名誉教授・鹿児島大学医学部大学院客員教授・京都大学農学博士
難波 宏彰 農学博士

難波宏彰博士

まだ誰もやっていない研究

今日、日本人になじみの深いマイタケは、実はほんの30年ほど前までは天然のものしか存在せず、マツタケと同じくとても希少なキノコでした。
私がマイタケと出会ったのは1982年のこと。マイタケの人工栽培に初めて成功した新潟の「雪国まいたけ」の大平社長と、以前から共同研究をしていた日本きのこ研究所所長、森寛一(故人)博士に、マイタケに何か薬効がないか研究して欲しいと勧められたのがきっかけです。最初は「マツタケならやってもいいですが……」などと言って、正直、嬉々として飛びついた材料ではなかったと憶えています。しかし人工栽培により品質の安定したマイタケの生産が可能となり、研究材料として使える目途が立ったことと、何より「まだ誰もやっていない研究」という点に研究者として惹かれ、マイタケの研究をスタートしました。

MDフラクションの抽出に成功

「薬効などないだろう」と思いながらも実験を始め、「MDフラクション」という有効成分の抽出に成功したのが1985年のことです。マイタケの子実体に含まれる物質を精製していくと、その過程で様々な物質が得られます。そこで、工程順にA、B、C、Dと名付けていったところ、4番目に得られた物質に強い抗腫瘍作用が認められたことから、これを「Dフラクション」、さらにわかりやすくするためにマイタケの頭文字を取って「MDフラクション」と呼ぶことにしました。

MDフラクションの力

まず、がん(腫瘍)を移植したマウスのグループを3つ作り、1つにはMDフラクションを投与し、1つには何も投与せず、もう1つには抗腫瘍効果があるとして当時認可されたシイタケから精製されるレンチナンを比較のために与えました。その実験を10日間続けたところ、MDフラクションを投与したグループは何も投与しなかったグループに比べて86.6%のがん増殖阻止率が認められました。これはレンチナンを投与したグループの54.4%を上回る結果でした。「そんなばかな……」、その結果に最も懐疑的だったのは私自身でした。しかし何度やっても結果は同じ。さらに動物による研究を進めると、発がん予防や転移抑制、抗がん剤との併用でがん治療に効果的なことや、経口投与できることなどがわかりました。

新たな有効成分MXフラクションも見つかる

さらにMDフラクションを用いた実験の中で、偶然にもブドウ糖の合成を抑え生活習慣病の改善に作用する「MXフラクション」という新たな有効成分も見つかり、マイタケの効果はいま世界から注目を浴びています。
しかし、残念ながら日本ではこれらの位置付けは「サプリメント」のまま。がんをはじめとする様々な治療に役立てようという動きは見られません。

アメリカのMDフラクションでの新たな療法

真っ先に興味を示したのはアメリカでした。世界最先端のがん治療を行っているスローンケタリング記念がんセンターでは、2005年頃からMDフラクションの免疫作用に注目して独自の臨床実験を行っており、現在はフェーズⅡ(少数患者への臨床実験)からフェーズⅢ(大規模患者への臨床実験)への移行の準備中で、薬として認可を得るための研究に入っています。
マイタケ抽出成分を用いた免疫療法は、従来のがん治療を補完する新たな療法という可能性を秘めていることはこれまでの研究結果で明らかにされています。ぜひマイタケの有用性の一端を理解していただきたいと思います。

マイタケ

難波 宏彰(なんば ひろあき)

京都大学農学博士
神戸薬科大学名誉教授・鹿児島大学医学部大学院客員教授

京都大学農学部で「ウイルスの増殖抑制」を学んだ後、神戸女子薬科大学(現在の神戸薬科大学)にてマイタケの研究を開始し、免疫活性化物質「MDフラクション」の抽出に成功。この功績により1995年、アメリカ代替ガン治療学会特別賞受賞。2010年、世界初のグランド・ライナス・ポーリング賞を受賞。現在神戸薬科大学名誉教授・鹿児島大学医学部大学院客員教授。京都大学農学博士。ニューヨーク・アカデミー・オブ・サイエンスのメンバー。マイタケ研究の第一人者の評価を受けている。

栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-6 マイタケの健康力』より

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