
インスリンの働きが血糖を正常値に保っている
人間の血糖を正常値(70~110mg/dL)に保つのはインスリンの働きによります。血糖値は食後上昇し1~2 時間をピークに減少します。つまりインスリンの分泌は、食事を始めて1 時間程度のタイムラグがあるのです。これはもともと昔の人間が野生の食品をそのままか、十分に加熱調理しない状態で食べ、時間をかけて良く噛む必要があったため、血糖値の上昇もゆっくりで、それに合わせてインスリンが分泌されて血糖を下げるように進化してきたのです。
昔とくらべて現在、血糖値の上がり方が急激なのは
しかし現在は食事前にいきなり甘いジュースを飲んだり、精製した食品を食べるため、血糖値の上がり方が昔とくらべて急激なのです。しかしインスリンの分泌速度は昔と変わらないため、食後に血糖値が急に上がりやすくなっています。
血糖値スパイクとは
食後、血糖が正常値から140mg/dLを超える高血糖になる状態を血糖値スパイクと呼びます(下図)。この血糖値の乱高下は血管に大きな負担をかけ、血管障害を促進します。血糖値スパイクは空腹時血糖値は正常なため、発見しにくいのですが、糖尿病の境界域として大いに注意すべきです。ゆっくり良く噛んで時間をかけて食べることは非常に重要です。
■食後の血糖値上昇による「血糖値スパイク」

実は人間には合っていない現在の食事の仕方
精製食品を食べる現代の食形態になってまだ100年にも満たず、ごく最近のことです。大昔から大きく変わらない人間のからだの仕組みに合わせて、実は人間には合っていない現在の食事の仕方をいかに適切にコントロールするかが生活習慣病、からだの糖化、酸化を防ぐ方法になるのです。
【point】 血糖値スパイクを起こしやすいタイプと症状
☞タイプ
糖尿病の家族歴あり、早食い、炭水化物ばかり食べる、運動不足、いつも満腹まで食べる
☞症状
食後に急激に眠くなる、イライラする、空腹時に高カロリーのものが猛烈に食べたくなる

上記のタイプ、症状に当てはまる人は専門医の受診を!
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-1 抗糖化ってなに?』より

