
短鎖脂肪酸が腸を守る鍵
日本では、2060年に高齢者の約3人に1人が認知症になると予測されています。寿命が延びる一方で、脳の健康をどう守るかは社会全体の大きな課題です。そんな中、腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸が「脳を守る鍵」として注目を浴びています。
短鎖脂肪酸が脳に届いて作用
腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれるネットワークでつながっています。腸でつくられた短鎖脂肪酸は血流に乗って脳に届き、神経細胞や免疫細胞に作用します。特に酪酸は、脳内の炎症をしずめる働きがあることが動物実験で示されています。脳の炎症はアルツハイマー病などの神経変性疾患のリスクを高める要因。短鎖脂肪酸がその炎症を抑えることで、認知症の発症や進行を遅らせる可能性があるのです。

短鎖脂肪酸とアミロイドβ
また、短鎖脂肪酸は「アミロイドβ」というたんぱく質の異常な蓄積を防ぐ作用にも関与していると報告されています。アミロイドβはアルツハイマー病の主要な原因のひとつと考えられており、その形成を抑えることは認知症予防の観点から大きな意味を持ちます。

神経伝達物質のバランスを整える
さらに、短鎖脂肪酸は神経伝達物質のバランスを整える方向に働き、気分の安定や睡眠の質改善にもつながることが分かってきました。
「最近物忘れが気になる」「眠りが浅い」といった日常の悩みも、実は腸の状態と深く関わっているのです。
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-13 腸内細菌がみんな元気に!短鎖脂肪酸を育てよう』より





