
三つのお宝物質
短鎖脂肪酸にはいくつか種類がありますが、代表的なのは「酢酸(さくさん)」「酪酸(らくさん)」「プロピオン酸」の3つ。まるで腸から贈られる“三種の神器”のように、それぞれ違う役割を持ち、健康を支えています。
動力源
まず酢酸。お酢の主成分でもあるこの分子は、腸から血流にのって全身を巡り、筋肉や臓器のエネルギー源として活躍します。血圧の安定や肌の調子の維持にも関与しているといわれ、体全体を支える「動力源」のような存在です。

修理工
次に酪酸。これは大腸の細胞が生きていくための“燃料”です。
酪酸が十分にあると、腸のバリア機能がしっかり守られ、不要なものが血液に漏れ出すのを防いでくれます。つまり酪酸は「修理工」であり、腸を健康な状態に維持してくれる頼もしい存在です。

調整役
そしてプロピオン酸。これは肝臓や脂肪組織に作用し、血糖値やコレステロールの調整に関わります。食欲を抑えるホルモンを刺激する働きもあり、ダイエットや糖尿病予防において注目されている「調整役」です。

伸びしろだらけの分子
さらに研究では、これら以外の短鎖脂肪酸― ―例えばカプロン酸なども存在し、まだまだ未知の働きがあると考えられています。
科学は日々新しい発見を重ねており、短鎖脂肪酸はまさに“伸びしろだらけ”の分子なのです。
スリムで元気な体づくりのカギ
ここで一つ面白い例をご紹介しましょう。最近よく耳にする「ヤセ菌」「デブ菌」という言葉。腸内細菌のバランスによって体質が変わることを表す比喩ですが、実際に「ヤセ菌」と呼ばれるバクテロイデス門は、短鎖脂肪酸をつくる力が強いことが知られています。逆に「デブ菌」と呼ばれるフィルミクテス門が優勢になると、肥満のリスクが高まる傾向があります。つまり、短鎖脂肪酸をしっかり作れる腸内環境こそが、スリムで元気な体づくりのカギになるのです。
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-13 腸内細菌がみんな元気に!短鎖脂肪酸を育てよう』より





