
ヌクレオチドはDNAの材料
私たちの身体は、成長したり、ケガを治したり、古くなった細胞を入れ替えたりするとき、絶えず細胞分裂をくり返しています。このとき必要なのが、DNA(デオキシリボ核酸)のコピー=複製です。そしてこのDNAの材料になるのが、ヌクレオチドです。
核酸を構成する部品
ヌクレオチドは、核酸(DNAやRNA)を構成する最小の部品で、リン酸、糖(リボースまたはデオキシリボース)、塩基(A・T・G・C・U)からできています。これが「ブロック」になって長くつながることで、DNAやRNAの“鎖”ができあがります(図1)。
■ヌクレオチドの構造(図1)
ヌクレオチドは、核酸の最小単位。ヌクレオチドの塩基の並び方が、遺伝子情報そのもので、リン酸、糖と正確につながることで、DNAやRNAが正しく働き、体内のタンパク質合成が正常に進みます。ヌクレオチドがなければ、核酸もできず、タンパク質の生産も始まりません。

▪DNA はアデニン(A)とチミン(T)、グアニン(G)とシトシン(C)が結合して形作られます。
ヌクレオチドが豊富に必要
核酸が十分に働くためには、材料であるヌクレオチドが細胞内に豊富にあることが大前提です。ヌクレオチドが不足すれば、DNAの複製もRNAの転写も進まず、結果としてタンパク質の合成も止まってしまいます。特に細胞分裂が盛んなとき(成長期、修復、免疫反応時など)には、DNAを複製する必要があり、ヌクレオチドの需要が一気に高まります。
核酸とヌクレオチドの緻密な連携
また、RNAの役割には、設計図を運ぶだけでなく、アミノ酸を運ぶ「tRNA」や、合成の一部を担う「rRNA」もあります。これらもすべてヌクレオチドからできており、体内でのタンパク質合成は、核酸とヌクレオチドの緻密な連携で支えられています(図2)。
■食べた核酸からヌクレオチドがつくられる(図2)
私たちが食品から摂る「核酸」は分子が大きいため、消化酵素によって、ヌクレオチド→ヌクレオシド→塩基・糖・リン酸という形にまで分解されて、小腸から吸収され、再び肝臓や各細胞でヌクレオチドに再合成されます。これがDNAやRNA、エネルギー物質(ATPなど)の材料として使われています。

核酸食品を摂取➡ヌクレオチド補充➡細胞が元気に働く(再生・修復・代謝)
核酸を摂ることが大切
このように体内の“インフラ”に必須のヌクレオチドですが、加齢と共に体内での合成能力は減少していきます。そのため、健康な体づくり、老化の予防、疲労回復のためには、核酸を摂ることが大切になります。
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-11 タンパク質とアミノ酸と核酸』より





