
エネルギー産生はここから始まる:TCA回路のスタート
私たちが元気で健康な生活を送るためには、ミトコンドリアが大量のATP※を産み出すことが必要です。
ミトコンドリアのマトリックス内に、ピルビン酸が入ると、脱水素酵素によってアセチルCoAに変換されてオキサロ酸と結合し、「TCA回路」が回り始めます。ATPを大量に産み出すためには、この第一ステップがスムーズに働くことが重要です。
■ TCA 回路の仕組み
解糖系で作られたピルビン酸は、最初にクエン酸に変換されて回路に入ります。さらにクエン酸は一連のプロセスを経て最終的にオキサロ酢酸となり、ここで再びアセチルCoA と反応して同様の円環プロセスが始まります。

TCA回路で生まれた水素イオンはどこへ行くのか
次にTCA回路から水素イオン(プロトン:H+)が取り出されます。取り出された水素イオンは、ミトコンドリア内膜上にある「呼吸鎖」と呼ばれる4つの複合体によって、ポンプのようにマトリックス内部から膜間腔に汲み出されます。
呼吸鎖では電子の受け渡しによって水素イオン=プロトンを汲み出すため、「電子伝達系」とも呼ばれています。

ATP合成酵素はタービンのように働く
プロトンが膜間腔に汲み出されるとマトリックス内ではプロトンが減少して、内膜を挟んで濃度差が生じます。その結果マトリックスの外と内で電位差(濃度差)が生まれ、プロトンがマトリックス内に戻ろうとする強い圧力が生じます。しかし、マトリックスに戻る通路はマトリックス内膜を貫通する「ATP合成酵素」にしかありません。ATP合成酵素のチャネルと呼ばれる通路が開くと膜間腔のプロトンはマトリックス内に勢いよく流れ込みます。この時、いわば水力発電で水の落下がタービンを回すように、水素イオンの流入で得られるエネルギーを使ってADP(アデノシン2リン酸)にリン酸を付けてATPを作り出すのです。
■ 電子伝達系~ ATP 合成酵素の仕組み
TCA 回路で取り出した水素イオン(H+:プロトン)を呼吸鎖複合体がマトリックスの外に汲み出します。水力発電で水の落下エネルギーがタービンを回すように、プロトンがマトリックスに戻るエネルギーを利用してATP合成酵素の生体タービンを回すことで、ATP が産生されます。

※ATP ミトコンドリアの内部で、複雑な反応を経て生み出されたエネルギーは「ATP」と呼ばれ、私たちが生きる上で必要なエネルギーに変換される。
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-03 神様の贈り物 ミトコンドリア活性で老い知らず』より





