免疫というシステム
私たちの身体は常にウイルスや病原菌、細菌などの外敵にさらされています。そこで人間の身体には、病原体の侵入から身体を守り、感染してしまった細胞などを排除する「免疫」というシステムが備わっています。免疫は私たちの健康を維持するために欠かせない大切なシステムです。
自然免疫と獲得免疫
この免疫には、自然免疫と獲得免疫という二つの段階があります。自然免疫は身体の中に入ってきた異物をすばやく察知して攻撃、排除します。これには好中球やマクロファージ、NK細胞などが連携して行われます。
獲得免疫は産まれてからの経験を通じて獲得した免疫のことで、B細胞やT細胞といったリンパ球が主役です。過去に感染した病原体を記憶し、同じ病原体に出会ったときに効果的に病原体を排除していきます。
核酸は免疫細胞の元になり、自然免疫を活性化する
乳児期の免疫機能に対する核酸摂取の重要性が明らかにされたことで、栄養素としての核酸が注目を集め、世界中で核酸と免疫の研究が行われました。その結果、核酸は免疫細胞の材料となり、免疫全体を強化することがわかっています。さらに摂りこまれた核酸は、免疫細胞の元になるだけでなく、アミノ酸に分解されずに免疫細胞に認識されることで、自然免疫を活性化するということが近年の研究で明らかにされました。
免疫システムのバランスを整える
また核酸には、過剰な免疫細胞を抑えるという作用があることも最近の研究で判明し、花粉症などのアレルギー改善効果にも期待されています。こうした免疫の面からも、病気になりにくい健康な身体を維持するためには、核酸は欠かせないと考えられています。
■免疫の仕組み「自然免疫」と「獲得免疫」
「自然免疫」は、特定の病原体に特化せず、無差別に攻撃をしてしまうのが特徴です。そこで特定の病原体を狙い撃ちするための「獲得免疫」が必要となります。マクロファージや樹状細胞が病原体の情報を周りに伝えることで、その抗原を異物として認識します。この獲得免疫の一部は抗体として残り、同じ抗原に出会うと病原体を排除します。
■核酸の免疫への3つの作用
①免疫細胞の材料になり、免疫システムをバックアップ
⇒細胞のひとつひとつに存在する核酸が常に新しい細胞を作るのに役立っていることで、私たちの健康は保たれています。
②免疫細胞に認識されて細胞が活性化する
⇒核酸が腸内の絨毛の発育を助け、腸から病原菌が吸収されることを防ぎます。また、善玉菌を増やして腸内環境を整えて免疫力を強化します。
③過剰な免疫を抑えてバランスを整える
⇒核酸には異常細胞を死滅させる機能があり、免疫細胞を正常に戻す働きがあります。バランスを整え、免疫力を高めるために核酸が役立っています。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-34 核酸の秘密』より