視覚障害の原因のひとつAMD(加齢黄斑変性)
歳を重ねていくと、私たちはいろいろな病気になっていきます。
「白内障」「緑内障」なども眼の老化によって起こる病気ですが、重い視力低下をもたらし失明にもつながる病気であるAMD(加齢黄斑変性)が今、世界的に増えていることは、案外知られていません。
アメリカでは今1,400万人以上の人が、このAMDに苦しんでいます。アメリカの失明原因の1位となっていて、日本でも視覚障害の原因の4位になっています。
AMD(加齢黄斑変性)とは
AMDの初期症状として、「止まっているものが時々動く」「波打って見える」「歪んで見える」ようになります。その後、数か月あるいは数年の間に病状が進行すると、見ている中心に暗点やぼやけた部分が現れてきます。
AMDにはゆっくりと視力が低下していくもの(萎縮型)と、数週間~数か月のうちに急激に視力低下が進み、最悪の場合、失明に至るもの(滲出型)、2つのタイプがあります。
AMDになる原因は加齢、喫煙、ブルーライト、遺伝などとされていますが、今のところ、しっかりした治療方法が確立されていません。
AMDとルテイン
1994年、Seddon博士たちは、ルテイン摂取とAMDの関係に関する研究を行いました。その研究によって、ルテインは AMDに対して最も有用性の高いカロテノイドだということがわかったのです。以後、ルテインとAMDの様々な研究が進んでいきました。
大規模臨床試験でもルテインによるAMDリスク減少は実証
多数の研究によって、「ルテイン摂取はAMDの視覚機能回復に有効である」ことが明らかになっていきました。
Richer博士はAMD患者を対象にした臨床試験を行い、ルテインが「変視症・中心暗点」などのAMDの特徴的症状を改善することを確認しました(下の図)。
近年行われたAMDに関するルテイン、ゼアキサンチンの臨床試験の中で最も規模が大きかったものとして、2013年にアメリカ国立眼科研究所が行った臨床試験があります。
この実験は50歳~85歳(平均69歳)の加齢黄斑変性患者・4,757名を対象に、5年間にわたって行われました。
被験者に対して4つの異なった処方のサプリメントを与え、「AMD進行リスク」や「MPOD(黄斑色素光学密度)」など、様々な測定をしていきました。
被験者に投与されたサプリメントは、(1)10mgのルテインと2mgのゼアキサンチン、(2)1gのDHAとEPAオメガ3系脂肪酸、(3)1と2の組み合わせたもの、(4)プラセボ※です。
この結果、「(1)10mgのルテインと2mgのゼアキサンチン」を摂取していた被験者群は、ルテインとゼアキサンチンの摂取量が最も少ない被験者群と比較した場合、重度のAMDの進行リスクが26%減少することが確認されました(下の図)。
※プラセボ : 本物の成分と見分けがつかないが、有効成分が入っていない、臨床試験に使用するためのもの。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-10 ルテインの秘密』より