パーキンソン病の原因と症状
脳の「黒質」という部分の細胞に、異常が発生することで起きるパーキンソン病。この病気により、神経伝達物質であるドーパミンの分泌が減り、手足の震えや歩行障害などが起こります。
カフェインが神経細胞を活性化
コーヒーの成分であるカフェインは、このパーキンソン病の発症を抑える可能性があります。ヒトの培養細胞をパーキンソン病に見立てた毒性物質で攻撃し、その後の経過を観察した実験では、カフェインの濃度が高いほど毒性が緩和され、細胞のダメージが軽減されることが鳥取大学の中曽一裕准教授らの培養細胞実験でわかったそうです。
同じ実験で、細胞のシグナル伝達経路を通じて、カフェインが神経細胞に影響を与えていることも明らかになっています。
カフェインの作用でシグナル伝達経路を活性化することができれば、パーキンソン病の予防ができるかもしれません。
クロロゲン酸の強い抗酸化作用
活性酸素をはじめとするフリーラジカル(有害物質)が、酸化ストレスとなってさまざまな病気や老化の原因となることは、これまでにもご説明してきました。パーキンソン病も、この酸化ストレスに関連する病気とされています。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸が、強い抗酸化作用を持つことは、すでにお話ししました。今後、クロロゲン酸の作用が詳しく解明され、パーキンソン病の予防・改善に役立つ日を期待します。
■ パーキンソン病関連毒性物質(MPP+、6-OHDA)による細胞毒性をカフェインが抑制する
【図の説明】
ヒト神経芽細胞SH-SY5Y細胞におけるパーキンソン病関連毒性(6-OHDA:上、MPP:下)をカフェインは軽減し、細胞生存率が上昇する(矢印)。
■ コーヒーに含まれるカフェイン、クロロゲン酸の 神経系への効果(パーキンソン病関連)への期待
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-5 コーヒー豆の健康・美容力』より