
男性の2人に1人、女性の3人に1人
日本人は生涯に渡ってがんにかかる割合が、男性の2人に1人、女性の3人に1人と言われている世界でもトップクラスのがん大国です。
遺伝子の傷が積み重なると
がん細胞は、正常な細胞になるはずの遺伝子になんらかの原因によって傷が付くことで発生します。この遺伝子の傷は、DNAの配列に異常が起きる突然変異と、配列自体変わらずに使われ方が変わってしまうもの(エピジェネティック変異)があることがわかっています。こうした遺伝子の傷が2~10個程度積み重なることで、がん細胞になってしまうのです(図1)。
■ がん発生のメカニズム(図1)
私たちの身体を作る約37兆個の細胞は、遺伝子をコピーして日々新しい細胞に生まれ変わっています。その過程で、なんらかの危険因子により細胞の設計図である遺伝子に傷が付くと、ミスコピーされ異常な細胞が生まれます。突然変異した細胞が増殖して、がん細胞になります。

アポトーシスを誘導してガンを予防する
核酸は傷ついたDNAを修復する作用だけでなく、アポトーシス(細胞死滅)を誘導させる作用もあり、異常を起こした細胞を死に追い込んで、がんを予防する作用があると考えられています。
アンチセンス核酸医薬
さらにゲノム創薬※1としての核酸医療が最先端医療として注目され、世界中研究者が日々新たな発表しています。抗生物質に匹敵する医薬品になるとも言われる核酸創薬の代表的なものにアンチセンス核酸医薬(図2)があります。
名古屋大学が行っている研究では、難治性の胃がん(腹膜播種)をターゲットにした、新しいアンチセンス核酸医薬の開発が進み、がん移殖したマウスの腹膜播種の進展を止め、生存期間の延長に成功しました※2。
■ アンチセンス核酸医薬とは(図2)
細胞はDNA→メッセンジャー RNA →タンパク質という流れで作られます。これはがん細胞も同じです。がん細胞のメッセンジャーRNAの塩基配列から、アンチセンスDNAを合成することで、特定のウイルスやがんの異常な働きを抑えることができます。このアンチセンスDNA(RNA)を、アンチセンス核酸医薬と呼びます。

壊れた遺伝子の発現を食い止める
DNAやRNAを細胞内に導入することで、壊れた遺伝子の発現を食い止めるアンチセンス核酸医薬は、不死と言われるがん遺伝子の働きを弱め、がんの治療を行う薬になる可能性があることから、現在最も有力視されています。
※ 1 ヒトゲノムの解析を経て、生まれたのがゲノム創薬です。遺伝子情報から病気に関する遺伝子を特定して開発できるので、より効果的な薬ができると期待されています。
※ 2 Mitsuro Kanda,et al. Molecular Therapy – Nucleic Acids(2020)

●核酸医薬とは
DNAからタンパク質が産生される段階のメッセンジャーRNA(mRNA)やマイクロRNA(miRNA)などの核酸をターゲットにするものやタンパク質をターゲットにするものがあります。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-34 核酸の秘密』より

