脳下垂体は内分泌の支配人
ホルモンの多くは内分泌腺で作られ、血液によって全身に送られ内臓の機能や身体の調子を整える役目を担っています。
内分泌腺の中でも脳下垂体は「内分泌の支配人」とも呼ばれ、多くの内分泌腺は脳下垂体から出される指示(ホルモン)により、その器官から分泌されるホルモンの分泌量を増やしたり、または抑えたりしてコントロールされています(図1)。
■脳下垂体から分泌されるホルモン(図1)
脳下垂体は頭蓋骨のほぼ中心にある約7㎜の小さな器官で、下垂体前葉と下垂体後葉に分かれています。どちらもホルモンを分泌しており、下垂体から分泌されるホルモンの総称を下垂体ホルモンと呼びます。
前葉と後葉に8種類ほどのホルモン
脳下垂体は前葉と後葉に分かれていて8種類ほどのホルモンを分泌し、内分泌系に指令を出しています。下垂体前葉から指示を与えられる内分泌腺ホルモンには、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン(2種類)、プロラクチンなどがあります。
複数のホルモンが協力しあって働く
これを野球で例えるなら下垂体前葉が監督で、身体の各内分泌腺が選手として監督の指示命令に従ってそれぞれの役割を果たしています。そして、松果体から分泌されるメラトニンは、睡眠や体温、ホルモン分泌などのリズム(サーガディアンリズム ※)の調節に関わっています。
このように私たちの体内では、1つのホルモンが独立して働くことはほとんどなく、多くは複数のホルモンが協力しあって働いているのです。
さらに近年の研究では、これまで内分泌系と思われていなかった胃や心臓、腎臓、小腸、血管などの器官にもホルモンを作る細胞が存在していることがわかっています(図2)。
■ホルモンが作られる全身の主な場所と種類(図2)
※サーガディアンリズム : 地球の自転周期に応じて変動する生理現象。24時間周期で働く生物の基本的なリズムです。
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-7 成長ホルモンを味方にする本』より