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セノリティクスとは?~老化を逆転する科学~

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老化細胞除去薬で健康寿命が延びる

2011年11月、権威ある科学誌ネイチャーに発表された論文※1が大きな話題となりました。マウスに老化細胞除去薬を投与したところ、筋肉の機能、脂肪組織の健康、心血管機能が改善され、老化による身体の機能低下を遅らせたというのです。とくに、健康寿命(病気や機能低下がない期間)が大幅に延び、加齢に伴う疾患の進行が抑えられました。

老化は不可避なものではないという可能性

この研究は、老化細胞を選択的に除去するという新しい治療法であるセノリティクス※2の基礎を築いた重要な成果でした。この実験結果は、老化は不可避なものではなく、特定の細胞を除去することで、老化に伴う疾患や機能低下を抑制できるという可能性を示唆したものです。

老化に対する医学的な認識が大きく変換

セノリティクスにより、老化に対する医学的な認識が「不可避である老化の受容」から「老化細胞を除去して健康を維持する」という考え方に大きく転換しました。この変化は、これまで積み重ねられた老化に関する基礎的な研究に支えられたもので、下記に掲載したいくつかの出来事がセノリティクスの進展に重要な役割を果たしました。

※1  ”Clearance of p16Ink4a-positive senescent cells delays ageing-associated disorders”
掲載誌: Nature 発表日: 2011年11月2日 著者: Darren J. Baker, Tobias Wijshake, Tom Tomás-Loba, et al.

※2 セノリティクス(senolytics)とは、老化(senescence)と対抗(lytics)を組み合わせた言葉で、老化を病気としてとらえ、老化細胞を除去することで老化を治療するという科学的なアプローチのこと。

① ヘイフリック限界:老化は避けることのできない現象?

1960年代に、レオナルド・ヘイフリック博士は、人間の細胞が限られた回数しか分裂できないという現象を発見しました。
これが「ヘイフリック限界」と呼ばれるもので、体細胞が約50~60回分裂すると細胞分裂が停止し、老化細胞(セネッセンス細胞)が生じることが分かりました。
この時点で、老化は避けられない現象であり、遺伝的なタイマーのように細胞の寿命が決まっていると理解されていました。

② テロメア理論:テロメア短縮の発見により老化メカニズム解明

1990年代には、テロメアという染色体の末端に存在する構造が、細胞分裂を重ねるごとに短縮し、最終的に細胞分裂が停止することが発見されました。
この理論によって、ヘイフリック限界の背後にあるメカニズムが明らかになり、テロメアの短縮が老化の原因であるという考えが広がりました。

③ セノリティクスの誕生:老化は治療可能な病気であるという認識

2011年には、老化細胞を除去することによって、マウスの健康状態が大幅に改善されることが示され、老化細胞を標的とした治療法であるセノリティクスが注目されるようになりました。この発見により、老化を「制御可能」な現象と捉え、老化治療の新たな方向性が示されました。

染色体イメージ

栄養書庫発行 :『よくわかる健康サイエンス-8 セノリティクス老いなき世界への扉』より

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