骨の強度の増強には
カルシウムとコラーゲンは骨を形成する主な物質として良く知られています。しかし、骨の強度の増強にはケイ素が深く関与しています。
骨密度とケイ素摂取量
アメリカで1940年代に始まった「フラミンガム研究」は長期にわたる地域コホート研究として有名です。さらに 1970年代には同研究の参加者の子孫を対象とした「フラミンガム子孫研究」が始まり、2004年に発表された報告※1の中でケイ素の重要性が指摘されました。
年齢30~87歳の2847人(男性1251名、女性1596名)を対象に、骨盤、大腿骨などの骨密度と食事などのケイ素摂取量との関連性を調査しました。その結果、1日のケイ素摂取量が最も多いグループ(1日40㎎以上)は最も少ないグループ(1日14㎎未満)と比較して骨密度※2が10%も高いことが分かったのです。
若いうちから積極的に摂取が重要
男性と閉経前の女性では、ケイ素摂取量が多いほど、骨密度が高くなっていました(図1)。ただし骨粗しょう症リスクが高い閉経後に女性には効果がないことも示されています。特に女性は、若いうちからの積極的なケイ素摂取が重要と考えられます。
コラーゲンに働き、骨を形成する細胞の分化が促進
コラーゲンの生成については、2003年に発表された、Reffittらによるヒトの骨芽細胞 (骨組織で骨を形成する細胞)状の培養細胞を使った実験において、食後の血中ケイ酸量とほぼ同じ濃度で、体内で最も多い1型コラーゲンの合成量が増加し、骨芽細胞の分化が促進された、との報告があります※3。
※1 Jugdaohsingh R et al. Dietary silicon intake is positively associated with bone mineral density in men and premenopausal women of the Framingham Offspring chort. J Bone Miner Res 19: 297-307, 2004.
※2 骨密度:骨の強さを表す指標。骨の中に、骨を構成するカルシウム等のミネラル類がどれくらい詰まっているかを示す。
※3 Reffitt DM et al. Orthosilicic acid simulates collagen type 1 synthesis and osteoblastic differentiation in human osteoblast-like cells in vitro. Bone 32: 127-135, 2003.
■大腿骨の強度は高齢者のQOL(Quality Of Life)に重要
加齢後の大腿骨骨折は寝たきりになるリスクを高める。
若いうちからの骨密度強化が重要となる。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-28 水溶性ケイ素の健康・美容力』より