2025年問題
2025年、第1次ベビーブーム(1947~49年)に生まれた団塊の世代が全員後期高齢者(75歳以上)となり、日本の全人口に占める高齢者(65歳以上)の割合が30%を突破。この深刻な「2025年問題」の年に、2012年には462万人(高齢者人口の15%)だった認知症患者数は2025年には約700万人(同20%)になると推測されています。
認知症の根治は不可能
認知症、中でもその大半を占めると言われるアルツハイマー病は、人間らしさを司る大脳が障害されるため、社会生活や家庭生活が不便になり、介護のために家族や周囲まで巻き込んでしまう可能性が高いのです。いまのところ根治は不可能で、進行を遅らせたり、症状の軽減が目的の治療薬に頼るしかありません。
NMNとアルツハイマー病関連の病理
NMNが、我が国が抱えるこの難題を解決する光明となるかもしれません。
2017年3月に発表された研究※1によれば、NMNはJNK(アルツハイマーの要因ともなる細胞内分子)の活性化を抑制し、少なくとも部分的に複数のアルツハイマー病関連の病理(アミロイドβの産生、慢性老人斑、シナプスの喪失、炎症反応など)を大幅に減少させることが示唆されました(下記グラフ参照)。
■NMNによるアルツハイマーのリスク軽減の可能性
【記憶力の改善】
明るい部屋のマウスは、通常暗い部屋に移動する。その習性を利用し、暗い部屋に入ったマウスに電気刺激を与える。1日後、同様の試験を行い、明るい部屋から暗い部屋へ移動する時間を計って変化を比較する。電気刺激を記憶しているマウスは、暗い部屋に入ることを躊躇し時間がかかる。忘れたマウスはすぐに暗い部屋に入る。その結果、NMNを摂取したアルツハイマー型認知症モデルマウスは通常の治療モデルマウスと同レベルの記憶力を維持した。
【アルツハイマー病リスクの軽減】
アミロイドβの脳中の量が各所で低下した。
グラフ出典:Neurosci Lett. 2017 Apr 24;647:133-140.を元に作図した日清ファルマ株式会社ホームページ内「知って得する豆知識~ NMNが注目されている理由は?今後の展望と今できること」(https://www.nisshin-pharma.com/)より引用し一部改変
脳機能の低下したマウスにNMNを摂取すると
また、2016年には、記憶力を低下させたラットに対するNMN摂取の効果についての検証も行われています※2。発表された論文によれば、脳機能を低下させたマウスがNMNを摂取すると、正常脳のグループと同程度の記憶力を示しました(下記グラフ参照)。
脳機能が正常の通常のモデルマウス、脳機能を低下させたアルツハイマー型認知症モデルマウス、アルツハイマー型認知症モデルマウスにNMNを体重1kgに対して500mg投与に分け、それぞれの脳機能を計測。結果、NMNを投与されたアルツハイマー型認知症モデルマウスは、正常脳のグループと同程度の記憶力を示した。
グラフ出典:Brain Res. 2016 Jul 15;1643:1-9. を元に作図した株式会社シクロケムホームページ内「知る・楽しむ栄養素バンク~NMN」http:// www.cyclochem.com/bank/bank_nmn.htmlより引用し一部改変
※1 Zhiwen Yao、Wenhao Yang、Zhiqiang Gao、Peng Jia Neurosci Lett. 2017 Apr 24;647:133-140. doi: 10.1016/j.neulet.2017.03.027. Epub 2017 Mar 19. PMID: 28330719 DOI: 10.1016/j.neulet.2017.03.027
※2 Xiaonan Wang、Xuejun Hu、Yang Yang、Toshihiro Takata、Takashi Sakurai Brain Res. 2016 Jul 15;1643:1-9. doi: 10.1016/j.brainres.2016.04.060. Epub 2016 Apr 26. PMID: 27130898 DOI: 10.1016/j.brainres.2016.04.060
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-33 NMNの秘密』より