生命を維持するための「糖」
食事で摂取した糖質が消化されてできた「糖」は生命を維持するために欠くことのできない物質です。この糖を細胞内で水と酸素を使って燃焼させ、からだの維持と活動に必要なエネルギーを生成します(図1)。
酸化とは
この過程で、有害な活性酸素(フリーラジカル)が発生します。もともと活性酸素は、体内で殺菌作用などの有益な役割がありますが、過剰に発生すると一転して体内の細胞を傷つける有害な物質となります。鉄の表面に酸素が作用すると錆びますが、有害な活性酸素が細胞を劣化させからだが錆びることが「酸化」です。人体は体内防衛システムで活性酸素に立ち向かいますが、そのキャパシティを超えると、活性酸素によって損傷を受けた細胞が死滅してしまいます(図2右)。
糖化とは
一方、体内で消費されずに余った糖質とからだを構成するたんぱく質が結びつき、体温で熱せられると老化促進物質の最終糖化産物(advancedglycationendproducts:AGEs)が生まれます。これは肉やパンを加熱調理すると茶色に焦げ目がつき香ばしくなる「メイラード反応」と同じ状態で、物質としては変質・劣化した状態です。体内で焦げが発生することを「糖化」といい、発生してしまったAGEsは分解できず、体内に蓄積し、細胞や血管を劣化させてしまうのです(図2左)。
酸化と糖化によってからだの老化が著しく進行してしまいます。
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-01 抗糖化ってなに?』より