ルテインが多く含まれているところ
ルテインは女性の乳房や子宮頸部に多く蓄積されています。妊娠中の赤ちゃんでルテインが存在するのは主に、脳、眼の黄斑部、お母さんとつながるへその緒の血液(臍帯血)で(図1)、臍帯血中にはゼアキサンチンも含まれています。
ルテインは脳に集まる
アメリカの全国健康栄養調査(NHANES)1988-1994のデータによれば、生後 2〜11カ月の乳児の食事に含まれるカロテノイドはβカロテンが最も多く、ルテインはゼアキサンチンと合わせて 17%に過ぎませんが、脳内カロテノイドの割合ではルテインは58%、ゼアキサンチンと合わせると74%と、母乳から摂取したルテインの多くが脳に集まることが分かります(表1)。脳のカロテノイド組成を幼児と百歳長寿で比較すると、幼児の脳にルテインの占める割合が大きく(表2)、発達期の脳にとってのルテインの重要性が浮かび上がります。
食事中のカロテノイドの相対濃度比較
出典:米国全国健康栄養調査(NHANES)1988-1994
脳内のカロテノイド比率
出典:Vishwanathan et al. Lutein and Preterm Infants With Decreased Concentrations of Brain Carotenoids. J. Pediatr. Gastroenterol. Nutr. 2014, 59(5):659-665.
幼児の脳はリコピンは無くルテインが半分以上を占める
クリプトキサンチンは長寿脳の約1/3、ゼアキサンチンは長寿脳の約1.5倍である
豊富なカロテノイド摂取が重要
Cheathamらは2015年に出産後3〜5カ月の母乳の提供を受け、生後6か月の時点での赤ちゃんの認知記憶力と母乳成分(ルテイン、DHA、生体必須物質コリン)の関連を評価。ルテインとコリンが多い母乳と、コリンとDHAが多い母乳のどちらも記憶力に良い影響があることが確認され、赤ちゃんの脳の形成、認知機能発達には異なる栄養成分が相乗的に作用することが示唆されました。また、ルテインの抗酸化作用がDHAを酸化から守り、その機能を助けているという研究報告(動物)もあります。
乳児期の食事の大半は母乳なので、お母さんが豊富なカロテノイドを摂取することは非常に重要です。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-24 マルチカロテノイドの健康力』より