皮膚の構造
人の皮膚は表皮と真皮、皮下組織の大きく3層の構造に分かれています(図1)。皮膚の一番外側にある表皮は敷石状の細胞※1が積み重なった、厚さが約0.2ミリの薄い膜のような状態になっています。
■健康な皮膚の断面図(図1)
皮膚には身体の表面を覆って器官や臓器を守り、体内の水分や体液が失われないようにする役目があります。皮膚の表面のハリやうるおいは、表皮の下の真皮層にあるコラーゲンなどの弾力性により保たれています。
下層と上層、健康的な皮膚の場合
下層の真皮はコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などで構成されています。コラーゲンは細長いタンパク質でできた繊維状の物質で、これが錯綜した塊になって蓄積しています。また、真皮には毛細血管や毛包、汗腺、神経などがあり、弾力性のある健康な肌を維持しています。
上層の表皮は主にケラチンからなる細胞が積み重なった軟らかい茶色のシートで、その一番外側にあるわずか10~20ミクロンの角質の膜によって守られています。その表面を拡大すると、健康的な皮膚の場合は、細めの溝と太めの溝が交差するように組み合わさっていて、この溝が光を反射するため艶っぽく見えます(図2)。
■肌のキメの比較(図2)
肌表面にある、規則正しく格子状に入ったラインは、水分や油分を溜める役割もあります。乾燥によりキメが乱れるとさらに水分や油分が失われて、小ジワができたりハリを消失する原因になります。
角質の溝を整える
逆に肌荒れしている状態では、溝が少なくのっぺりした状態のため、くすんだ肌色に見えてしまいます。つまり健康的で美しい肌というのは、皮膚の表面に規則正しいラインが入っている状態のことを指しています。
この溝の状態をキメと呼び、漢字では肌理と書きます※2。よく「キメを整える」という言葉を耳にすることがあると思います。それは皮膚の表層にある角質の溝を整えるということなのです。
※1 角化細胞(ケラチノサイト)を基本に、それが変化した細胞が重なってできています。
※2 肌理の「理」には、すじ、すじめという意味があり、木材の状態を表す「木目」から派生した言葉だと言われています。
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-5 美肌菌きれい研究ブック』より