細胞の分解機構
DNAの修復機能が間に合わず、細胞やタンパク質が機能不全になったり壊れた場合には、分解機構によって排除されます。この分解機構は3段階に分かれています。
第1段階として酵素などのタンパク質が機能不全に陥った場合は、ユビキチン-プロテアソーム系と呼ばれる分解系が働きます。さらに大量のタンパク質や細胞内小器官が機能不全になった場合は、第2段階としてオートファジー(自食作用)が働きます。
さらに細胞全体に機能不全が進むと第3段階としてアポトーシスと呼ばれる細胞死が起こります。最終的にアポトーシスによって死んだ細胞はマクロファージに取り込まれ除去されます。
機能不全に陥った細胞は、異常な細胞となりガン化するなど、体に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。アポトーシスが正常に行われないと、病気になりやすくなってしまうのです。
●第1段階 ユビキチンプロテアソーム系
機能不全を起こしたタンパク質などに、目印としてユビキチンが付加され、プロテアソームに運ばれて分解されます。
●第2段階 オートファジー
隔離幕と呼ばれる膜が分解したいものを取り囲み、オートファゴソームと呼ばれる小胞が形成され、水分解酵素が大量に含まれるリソソームと融合し分解されます。
●第3段階 アポトーシス
酵素カスパーゼがDNAを断片化し、核の凝集・断片化が進みアポトーシス小体が形成され、マクロファージによって貪食されます。
※制御できない細胞死 ネクローシス
火傷や凍傷などの外部要因による予期せぬ細胞死はネクローシスと呼ばれます。この場合は細胞全体が膨張し、細胞が融解します。
栄養書庫発行 : 『Nutrient Library-34 核酸の秘密』より