糖化と様々な病気
糖化はAGEs※の発生、蓄積によって全身の細胞が障害されます。まず血中でブドウ糖とたんぱく質が結びついて始まり、血管壁に糖化物が付着して血管を変質・劣化させます。このような血管障害が全身で起きるため、からだのあちこちの部位で症状が現れます(図1)。
細小血管への障害によって糖尿病とその3大合併症と言われる症状が、さらにアルツハイマー型認知症が発症します。また大血管障害としては閉塞性動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞があります。AGEsを原因としたDNAへの炎症が細胞のがん化を進行させると考えられています。また免疫細胞の糖化による機能低下は、感染症のリスクを高めます。
糖化の影響を受けやすいコラーゲン
からだを構成するたんぱく質の中で、特に糖化の影響を受けやすいのはコラーゲンです。コラーゲンはからだのたんぱく質の30%を占めており、肌のハリや弾力だけではなく、血管や内臓壁、細胞の構造を作る成分としても重要です。さらに骨はコラーゲン繊維によって基本的な土台が作られており、糖化によって骨粗しょう症になりやすくなります。
慢性炎症から生活習慣病に
さらにこれらの疾患の背後には慢性炎症があると考えられており、軽い炎症であっても継続すると生活習慣病や老化を促進してしまいます。最近注目されているのが口腔内にある慢性炎症で、虫歯、歯周病で炎症があると活性酸素が産生され、継続的に体内に侵入していくのです(図2)。これはアルツハイマー型認知症の原因の一つでもあります。
※老化促進物質の最終糖化産物(advanced glycation endproducts:AGEs)
栄養書庫発行 : 『よくわかる健康サイエンス-01 抗糖化ってなに?』より